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早坂隆 ジョークで斬る国際社会

2018年02月01日 公開
2023年02月15日 更新

早坂隆(ノンフィクション作家)


早坂隆

大国化する中国

 近年、ジョークの世界で存在感を増しているのが中国。以前は「何でも食べる」「自転車に乗っている」くらいの登場シーンしかなかったが、最近ではいろいろな役柄で登場するようになった。

 しかし、その多くはオチとして辛辣に揶揄されるもの。堂々の「嫌われキャラ」として世界的に定着しつつある。「中国の大国化」に対し、多くの人々が危機感を覚えている証左であろう。

 国内は相も変わらぬ共産党の一党独裁体制。南・東シナ海への強引な海洋進出もやめる気配がない。

 そんな中国が、もはや世界経済に欠かせない大役を演じているのもまた事実。中国経済が減速すれば、世界経済は大きな打撃を蒙る。

 中国が「新たな覇権国家」となるのか否か。国際社会の懸念は高まっている。

 

●赤い旗

 中国を旅行中のアメリカ人が、中国人ガイドの案内で上海の街を観光していた。アメリカ人はカメラ片手に歩いていたが、とある通りで工事中の溝に足をとられて転倒してしまった。汚水まみれになってしまった彼は、ガイドに怒って言った。

「普通はこういう危険な場所には、赤い旗でも立てておくものだ!」

 するとガイドが答えた。

「我が国もそうなっていますよ」

 ガイドが続けた。

「入国する際、大きな赤い旗がたなびいているのを見ませんでしたか?」

 

移り変わる日本人像

 近年、日本人の出てくるジョークも、次第に変わりつつある。以前は「ビジネスマン」「エコノミックアニマル」といった役柄が多かったが、最近ではスポーツや文化面での登場シーンが増加。より多様な日本人像が描かれるようになった。

 また、「観光立国」を目指すという国の方針のもと、訪日する外国人観光客が激増していることも「多様な日本人像」の拡散と定着に奏功している。日本の文化を紹介するSNSは、世界中で人気を集めている。

 日本は「経済大国」から、個性的な「文化大国」へと「キャラ変」している真っ最中なのである。

 

●切なる願い

 日本人という民族はまったくどうかしている。

 ベースボールでアメリカに勝ち、

 ラグビーで南アフリカに勝ち、

 スキーのジャンプでフィンランド人に勝つ。

 以下は、イギリス人の切なる願いである。

「どうか日本人がクリケットの存在に気付きませんように」

 

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著者紹介

早坂隆(はやさか・たかし)

ノンフィクション作家

1973年、愛知県生まれ。著書に、『昭和十七年の夏 幻の甲子園』(文春文庫)、『世界の日本人ジョーク集』(中公新書ラクレ)、『愛国者がテロリストになった日 安重根の真実』(PHP研究所)、『永田鉄山 昭和陸軍「運命の男」』(文春新書)、『昭和十八年の冬 最後の箱根駅伝』(中央公論新社)、『新・世界の日本人ジョーク集』 (中公新書ラクレ)ほか多数。

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