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日本のリベラルは、自分の国を守ることさえ拒否するのか

2018年04月05日 公開

ケント・ギルバート(米カリフォルニア州弁護士)


 

リベラルの毒に侵された日本人

アメリカでも「リベラル」勢力は、様々な問題を引き起こしています。おかげであの「自由の国アメリカ」が、「全体主義的」ともいえるような、とても住みづらい社会になってしまっているのです。私が本書『リベラルの毒に侵された日米の憂鬱』(PHP新書)を書いた理由の一つは、日本には絶対そんな社会になってほしくないからです。

しかし、そんなアメリカの「リベラル」でも、日本よりはるかに「マシ」な、見習ってほしい部分があります。それは彼らも、国を愛し、国を守る意識を持っていることです。

愛国心や国防に対する意識は、同じ「リベラル派」と称される人たちのあいだでも、日米では根本的に違います。アメリカでは、保守もリベラルも、どちらも愛国心をきっちりと持っているのです。アメリカ国民の大半は支持政党とは関係なく、もし自国の領土領域が侵されるようなことがあれば、必ず武器を取って立ち上がるでしょう。なぜなら「正義の戦争はありうる」と、ほとんどのアメリカ国民が考えているからです。

したがって、身を挺して国防を担っている軍隊を侮辱するような発言をすれば、民主党、共和党を問わず、国民からの信頼を失いかねません。また、アメリカの親たちも、子供たちに対する学校での愛国心教育に反対することなどありません。

しかし日本の「リベラル」は、その大半が愛国心というものに嫌悪感を抱き、安全保障問題の解決策とは、すなわち交戦権を否定した憲法九条を守ることだと考えています。彼らは、日本という国そのもののあり方を否定さえしています。学校で愛国心教育をやるなどけしからんと、警戒心で身構える人も少なくありません。

税金から給料をもらう公務員でありながら、国旗である日の丸と、国歌である君が代を否定して、自分勝手な思想を子供に教えて恥じない公立学校の教職員もたくさん存在します。

想像すらできませんが、仮にアメリカにそんな教師がいたら、保守からもリベラルからも「星条旗に忠誠を誓わない人間に教師の資格はない。どうしても教師をやりたければアメリカから出て行け!」といわれることは確実です。

これは当たり前といえば当たり前の話です。日本の場合は、日米安全保障条約の体制下、「アメリカが守ってくれる」という安心感を心の片隅で抱きつつ、教師だろうがメディアだろうが、好きなことをいっていられたわけです。しかし、アメリカの場合、「アメリカを守ってくれる存在」などありません。普通の国と同じように、自分のことは自分の力で、つまりは国民の気持ちと力を一つに結集させて、祖国を守らなくてはならないのです。

たとえば、私が小学校に入学したのは1957年でしたが、「防災訓練」が頻繁にありました。防災といっても、日本のように地震や津波を想定したものではなく、ソ連による核攻撃に備えてのものです。

授業中にいきなり「ピーピーピー」という警報音がなると、生徒は急いで自宅に帰らなければいけない決まりでした。核攻撃でライフラインが途絶した場合に備えて、街の至るところに備蓄倉庫が設けられていた時代でした。

さらに毎年のように、広島への原爆投下を題材にした映画を見せられたことを覚えています。まだ小学生だった私にとって、共産主義とはすなわちソ連という敵国による核攻撃の脅威であり、いわば恐怖の対象として脳裏に刻まれました。今でも放射能を示すハザードシンボルを見ると、当時の怖い気持ちを思い出してドキッとします。

実際に、米ソ冷戦中には、全面核戦争寸前の危機にまで至ったことが現実にありました。

1983年、ソ連のシステムはアメリカから飛来する数発のミサイルを察知。実はこれは警報システムの誤作動だったのですが、もしこのときソ連が報復の核攻撃に出ていれば、当然アメリカも反撃したでしょう。そうなれば、世界は破滅していたかもしれません。このときは、システムの誤作動を見抜いたソ連のスタニスラフ・ペトロフ防空中佐の勇断によって、核戦争の勃発は回避されました。人類にとっては好運と呼ぶほかない事態でした。日本人がよく口にする「絶対安全」というものは、もともとこの世には存在しないことがよくわかると思います。

現在の日本に関して私が驚きを禁じえないのは、北朝鮮から発射された弾道ミサイルに日本政府が発するJアラートに対して、「うるさい」「無意味」といった有名人の発言が公然と紹介されたことです。また、藤沢市のある市民団体は、Jアラート発動を想定した国民保護サイレン再生訓練について、訓練の中止を求める要請書を藤沢市に提出したそうです。要請書には「いたずらに恐怖心を煽る放送、合理的に説明できない行動への協力要請。音声再生に加えて避難行動についても協力を求める市の訓練に強く反対する」と書かれているそうです。平和ボケもここまでくると、もはや言葉を失います。

日本も、もう「言葉遊び」ばかりに逃げるのは終わりにすべきです。しっかりと現実を見据えることを意識して、万一に備えて訓練しておく。そうしないと、本当に危機に直面したときに、正しい判断をすることができないでしょう。それは日本にとって、とても悲劇的なことだといわざるをえません。
 

※本記事は、ケント・ギルバート著『リベラルの毒に侵された日米の憂鬱』(PHP新書)より一部を抜粋編集したものです。
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著者紹介

ケント・ギルバート(Kent Sidney Gilbert)

米カリフォルニア州弁護士

1952年、米アイダホ州生まれ、ユタ州育ち。71年に初来日。80年、国際法律事務所に就職して東京に赴任。83年、TV番組『世界まるごとHOWマッチ』に出演し、 一躍人気タレントへ。『夕刊フジ』金曜日連載「ニッポンの新常識」、まぐまぐメルマガ「ケント・ギルバートの『引用・転載・拡散禁止!』」などで論陣を張る。著書に、『まだGHQの洗脳に縛られている日本人』『やっと自虐史観のアホらしさに気づいた日本人』『いよいよ歴史戦のカラクリを発信する日本人』 『ついに「愛国心」のタブーから解き放たれる日本人』(いずれもPHP研究所)などがある。 『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』(講談社+α新書)は発行46万部余りの大ベストセラー。 

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