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江崎道朗 トランプが北朝鮮を攻撃しなかった理由

2018年03月09日 公開

江崎道朗(評論家)

北朝鮮有事はあくまで前哨戦

 平昌オリンピックにおいて、北朝鮮による華々しい「微笑み」外交が繰り広げられる背後で、北朝鮮をめぐる軍事的緊張は確実に高まってきている。こう書いても、いまや話半分にしか聞いてくれないことが多い。

 それもわからないでもない。昨年来、マスコミでは、トランプ政権がいまにも北朝鮮を攻撃するかのような憶測が事あるたびに報じられてきたが、軍事行動が起こらないまま1年が過ぎたからだ。

 狼少年ではないが、半島危機は起こらないのではないのかという奇妙な楽観論がいまの日本を覆いつつある。だが、この1年のあいだに危機は確実に進行している。

 その危機の実情を理解してもらうためには、まず、なぜこの1年間、トランプ政権が軍事行動を起こさなかったのか、ということの説明から始める必要がある。

 そもそも、北朝鮮に対してトランプ政権はどのように考えているのか。昨年秋に訪米し、米軍関係者たちとかなり突っ込んだ意見交換をしてきたが、彼らの考え方を日本側が理解しているかといえば、疑問だ。

 なにしろ米軍側は、北朝鮮だけを見ているわけではない。北朝鮮有事はあくまで前哨戦で、本丸は中国であり、ロシアが連動してくると考えているのだ。

 アメリカで会った米軍関係者は口を揃えて次のように述べた。

「われわれは現在、アジア太平洋方面において2つの大きな脅威に直面している。短期的には北朝鮮。長期的には中国が自国の利益を確保するために軍事力を使おうとしていること。

北朝鮮の脅威は、軍事だけといえる。経済力がないため、中国に比べればそれほど難しくない。この北朝鮮の問題を混乱させているのがロシア。ウクライナ問題でもロシアは事態を混乱させる方向で動いている。

 中国は経済力をもっているため、中国に対して軍事は重要だが、それ以上に外交、情報、経済などの分野で中国を抑止していくことが重要だ。とくに中国は、他国が他の問題に気を取られているあいだにいろいろと手を打ってくるので注意が必要だ」

(本記事は『Voice』2018年4月号、江崎道朗氏の「全面降伏する韓国」を一部、抜粋したものです。全文は、3月10日発売の4月号をご覧ください)。

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著者紹介

江崎道朗(えざき・みちお)

評論家

1962年、東京都生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、安全保障、インテリジェンス、近現代史研究に従事。

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