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厚切りジェイソン 「意識高い系」で何が悪い

2018年04月09日 公開
2023年08月07日 更新

厚切りジェイソン(IT企業役員・お笑い芸人)

違和感だらけのニュース番組

 ――昨年からは、いわゆる「森友・加計問題」なども、延々と報じられ続けました。もっと大切な問題があると思うのですが……。

 ジェイソン 1つは、視聴者が重たい話を聞きたくないのかもしれません。すると、軽いニュースばかりが流れていく。それは自分たちの国のことをきちんと考えていない、さらにいえば大事にしていない、ということにつながると思います。

 ――アメリカでは、報道とエンターテインメントのニュースはきちんと棲み分けられているのですか。

 ジェイソン 少なくとも安全保障と俳優の恋愛を一緒に報じるようなことはしませんし、日本よりも放送局やチャンネルの数が多いので、視聴者は自分の関心に沿って番組を選ぶことができます。まともなニュースと芸能ゴシップのどちらを見たいか、そして見るべきかを自分の頭で考えている。その意味で、日本の視聴者にはチャンネル選択の自由すらないわけです。Why!?

 ――1人ひとりが、自分にとって何が大事なのか、しっかりと考える。グローバル化やAI化などが急速に進むなかで、これからの日本人に求められることですね。

 ジェイソン 少なくとも、「あなたは人生で何が大事で、何をやり遂げたい?」と聞かれたときに、自分の答えを語れなくてはいけないでしょう。日本ではそのように向上心をもつ人がなぜか「意識高い系」と馬鹿にされがちですが、その意識こそがほかの動物にはない、人間の素晴らしい部分だと私は思います。

 日本には、尊敬できる部分がたくさんあります。1つの事を究める職人魂や、「そこまでやるの!?」というサービス精神は、他の国にはない。

 そうした素晴らしい点を活かしつつ、1人ひとりがいま以上に「意識」をもって自分を大切にすれば、より良い社会になると思うし、私のように日本で働きたいと思う外国人も増えるんじゃないかな。

(本記事は『Voice』2018年4月号、厚切りジェイソン氏の「『意識高い系』で何が悪い」を転載したものです)

著者紹介

厚切りジェイソン(あつぎりじぇいそん)

IT企業役員・タレント

1986年、アメリカ・ミシガン州生まれ。17歳でミシガン州立大学に飛び級で入学。卒業後、イリノイ大学大学院に進み、修士課程を修了。タレントとして活動しながら、IT企業の役員も務める。著書に『ジェイソン流お金の増やし方』(ぴあ)などがある。

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