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村田晃嗣&三浦瑠麗 トランプは米国の鳩山由紀夫か

2018年05月11日 公開

村田晃嗣(同志社大学教授)&三浦瑠麗(国際政治学者)

米朝接近でにわかに浮上した「日本孤立論」

三浦 日本と同じく北朝鮮問題で蚊帳の外だった中国が、ここへ来て主導権を取り戻してきました。日本だけがバスに乗り遅れているようにも見えますが、それはよく考えていない意見です。

下手をすれば日本だけが意固地に和平に反対しているかのような悪印象を国民が抱きかねない懸念はありますが、日本はあくまでも非核化や軍縮の基準点を示し続けるという大事な仕事があります。東アジア地域に、北朝鮮の不道徳な体制や極端な軍拡に異議を唱え続ける国がいることも必要なのですから。

村田 おっしゃるように、日本はいまの段階では経済制裁の継続、最終目標は完全不可逆で検証可能な非核化という主張を堅持すべきです。日本が北朝鮮に妥協してしまうと、全体の平均点がどんどん下がってしまう。日本ができるだけ踏みとどまることが東アジア地域の安定に寄与する、という自覚が必要です。

南北会談や米朝会談にしても、今後どう転ぶかわからないのですから、いたずらに現状の宥和ムードに流されてはいけない。決して慌てることなく、当初の目標を見失わないことです。

三浦 日本国内の世論は本当に揺れ動いていますよね。昨年10月の衆議院選挙前には「安倍政権は北朝鮮のミサイル発射を政治的に利用している」といっていた人が、トランプ大統領が対北宥和姿勢を見せた途端、「日本だけが置いてきぼりになっている。北朝鮮との対話に乗り遅れるな」という。

つまり「何が日本の国益なのか」という点について、国民のあいだで認識がすり合わされていないのです。

村田 日本だけが孤立している、と主張する人たちのなかには、少し前まで「対米従属はけしからん」と声高に主張していた人もいます。日本に独立した姿勢を求める人たちが、米国の宥和姿勢に乗り遅れるな、というのは明らかな矛盾で、奇異に思います。
トランプが強硬策を翻意して金正恩と会ったから、日本も北朝鮮との宥和を認めるというのは「トランプと同じ水準でよいのか」という話でしょう。

つねに言動が不安定で何を始めるかわからないトランプ大統領は、さしずめ日本でいうなら鳩山由紀夫です。
以前、沖縄総領事をされたケヴィン・メアさんとテレビ番組でご一緒したとき、メアさんが「日米関係は鳩山政権を乗り越えたのだから、トランプ政権でも大丈夫ですよ」とおっしゃった。そこで私は「鳩山さんは1年で辞めたけど、トランプ大統領は4年いるんですよ」と反論しました(笑)。

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