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ドイツ「インダストリー4.0」の衝撃、日本政府もイニシャチブを発揮せよ

2018年11月20日 公開

熊谷徹(在独ジャーナリスト)

プラットフォーム・インダストリー4.0のバンティエン事務局長は「中小企業にIoTの重要性を納得してもらうには時間がかかる」と語る(写真:筆者)

ドイツ政府は製造業のデジタル化計画「インダストリー4.0」を推進するためには、市民、中小企業、組合の協力が必要であることを理解している。一方、デジタル化における日本政府の取り組みは遅れているという。ドイツ在住のジャーナリストが、「ものづくり大国」日本が21世紀を生き抜くためのヒントを提供する。

 

ドイツ経済好調の原動力は中小企業

現在、ドイツ経済は1990年の東西統一以来最も好調な状態にある。同国の輸出額は2011年以来6年間連続で1兆ユーロ(130兆円、1ユーロ=130円換算)を超え、2016年のドイツの経常黒字は中国を抜いて世界最大となった。

その原動力となっているのがドイツの中小企業である。

「プラットフォーム・インダストリー4.0(PI4)」と呼ばれる官民一体のIoT推進団体のバンティエン事務局長は私とのインタビューで、「現在ドイツの景気は絶好調なので、ミッテルシュタントでは受注額がどんどん増えて、生産が間に合わないほどだ。つまりミッテルシュタントは伝統的なビジネスモデルで大きな成功を収めている。彼らにはインダストリー4.0について本腰で取り組む時間やリソースがないのだ。こうした時期に、なぜミッテルシュタントの伝統的なビジネスモデルを変えなくてはならないかを理解してもらうには、そうとう時間がかかる」と政府の悩みを打ち明けた。

だがドイツ政府は、「もしもこの国の製造業界が現在の成功に満足して自己変革を怠るとしたら、グーグルやアマゾンなど米国のIT企業、プラットフォーム企業が世界の製造業界を席巻してデファクトスタンダードをつくってしまうかもしれない。

そうなったら、ドイツの製造業界はIT企業に製品を納入するだけの下請け企業になってしまう」と考えている。

つまり、製造業界があえて現在のビジネスモデルを破壊しなくては、21世紀のグローバルマーケットで影響力を維持できないというのだ。

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