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「気づいた時にはもう遅い」大投資家ジム・ロジャーズが予見する金融危機

2019年01月16日 公開

ジム・ロジャーズ(訳:大野和基)

ジム・ロジャーズ

<<2018年末の「クリスマス暴落」に始まり、急落・急騰を繰り返した年末年始の株式市場。世界3大投資家の1人として知られるジムロジャーズは、驚くことに2018年夏の時点で今回の事態を「予見」していた。

2019年1月17日刊行の新著『お金の流れで読む 日本と世界の未来』において、「アメリカ発の経済危機が近いうちに起きる。米中貿易戦争はその引き金となる」と警告しているのだ。リーマンショック発生の「予言」を的中させた大投資家の目に映る未来図とは。>>

※本稿は『お金の流れで読む 日本と世界の未来 世界的投資家は予見する』(ジムロジャーズ著、大野和基訳 PHP新書)より一部抜粋・編集したものです。
 

リーマンショックが教える下げ相場の予兆

2018年7月、米中両国は互いの製品の輸入関税を引き上げた。これは実に愚かな措置だ。貿易戦争から、勝者は生まれない。どの国にとってもマイナスになるのだ。

貿易戦争をしている当事者はもちろん、他の国まで苦しむことになる。米中の貿易戦争には日本も巻き込まれ、悪影響を受けるだろう。

トランプ大統領はアメリカが貿易戦争に勝つと思い込んでいるようだが、それは間違っている。彼は、自分は歴史より賢いと思っているのだろうか。歴史を振り返れば、貿易戦争がプラスに働くことなどないとわかるだろうに。

昨今の金融市場を見ればすぐわかる。日本も中国もアメリカも、すべての国で物価が上がっている。市場には真実が現れる。

フェイクニュースに騙されてはいけない。中国の経済専門家も「貿易戦争によって中国経済は大きなダメージを受けている」と指摘している。米中間に貿易協定が結ばれなければ、両国だけではなく近隣の日本、韓国などさまざまな国に多大な影響が及ぶ。

米中の株式市場には、もちろん貿易戦争以外の要素も大いに関わっている。紙幣増刷や減税など、多くのことが同時に起きている。

貿易戦争がやってきたといっても、それは始まったばかりで、まだ市場に多大な影響を与えるまでには至っていない。経済危機というのは、1日や2日で起きるものではない。

経済に実際に影響が与えられるまでには、時間がかかるものなのだ。下げ相場は、たいていそのように起きる。

2008年は、リーマンショックで世界中がひどい下げ相場になった年だった。2007年4月、サブプライムローン業界2位のニュー・センチュリー・ファイナンシャルが破綻した。

さらに同じ年の7月、格付け機関が住宅ローン担保証券を一気に格下げした。10月には、投資銀行大手のメリルリンチで、CEOが経営悪化の責任を取り辞任。

それから半年後の2008年5月、アメリカの大手投資会社ベアー・スターンズが破綻し、人々は何かがおかしいとざわつき始めた。

そしてその4カ月後、2008年9月にあのリーマン・ブラザーズが破綻し、それでようやく誰もが気づいたのだ。「大変だ!何か大きな問題が世界で起きている」と。

危機というのは、いつもこのように起きる。誰も気づかないようなところで初動が起き、それが雪だるま式に大きくなっていくのである。

そしてテレビで報道された時に初めて、「何か大変なことが起きている!」と多くの人が知ることになるのだ。

歴史的に見ると、どの下げ相場も誰もが知らないところで始まり、最終的に多くの国が破綻している。

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