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40代に待ち受ける「老後貧困」 "定年まで正社員"は一部エリートのみ

2019年02月01日 公開
2022年05月25日 更新

小林昌裕(副業アカデミー代表)

今の40代が将来、「貧困老人」になるケース

仮に75歳まで定年が延長されたとしても、「人生100年時代」を前提とするなら、さらに20年以上は年金をベースに自活しなくてはなりません。

夫がサラリーマンで妻が専業主婦の場合、老人夫婦世帯の年金受給額は、現在は約22万円ですが、今後確実に受給額は下がっていくでしょう。今の現役世代が高齢者になるころには、元金が戻ってくるかどうかすら怪しいと思います。

要するに、年金はほとんどアテにできないし、受け取るとしてもせいぜい5万〜10万円程度という覚悟が必要です。ゆとりある老後生活を送るためには、毎月38万円ほど必要と言われます。

しかし、年を取れば大きな病気をする可能性も高まりますし、老人ホームに入居するとなれば、入居一時金だけで1000万円、毎月の居住費を含む生活費が20万〜30万円かかりますから、38万円というのは決して贅沢できる金額ではなく、現役時代と同程度の生活水準を維持するために必要な金額になります。

少なく見積もっても、夫婦2人で毎月最低25万円ぐらいは必要ですが、これは年間にすると300万円。老後が20年間はあるとすると、6000万円は必要になります。

これだけの額を確保できる人は、サラリーマンではごく一部のアッパー層に限られるでしょうし、そういった人たちでも、現在の給与水準が退職するまで維持できる保証はまったくありません。

たとえば、今40歳ぐらいの人が、もらえる年金を考えずに、定年まで
の30年間で6000万円貯めるには、年間200万円、月々17万円弱を
貯金する必要があります。そんな金額の貯金、本業だけではとてもできません。

潤沢な老後資金のない人びとは、確実に生活水準が下がります。質素な暮らしが維持できればまだ良いほうですが、病気などしてしまったら、一気に生活は破綻します。

こうした「貧困老人」は今後激増するはずです。そんな生活を続けていると、家族や友人とも疎遠になり、最期は風呂場で孤独死……。

そんな悲惨な最期でいいのでしょうか。こうなる前に、できることはあるでしょう。私が副業をすすめる理由はこうした背景があります。

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