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増税を主張する官僚の本音 資産が「天下り」に使われている現実

2019年03月04日 公開
2019年04月03日 更新

高橋洋一(嘉悦大学教授)

高橋洋一
写真:御厨慎一郎 

※本稿は、発売中の高橋洋一著『「消費増税」は嘘ばかり』(PHP新書)より抜粋・編集したものです。

 

増税よりも政府のスリム化が先

日本の財政は基本的には問題ありませんが、資産と負債の圧縮によるスリム化を阻んでいるのは、天下りを狙っている官僚たちといわざるをえません。「借金がこんなに多い」などというのは完全なまやかしであり、政府関係機関を完全民営化すれば、借金は大幅に減らせます。

私は日本の財政状況は大丈夫だと考えていますが、それでもなお「財政健全化が必要だ」と主張するのなら、「消費税の増税」をやるよりも前に、まず「政府の資産で売却するものは売却し、民営化できるものを民営化する」ことによって、政府のスリム化をすべきではないでしょうか。「財政健全化のために消費増税をする」のはそれからのことでしょう。

財務官僚以外の誰が考えても、順番がおかしいといわざるをえないはずです。

政府関係機関の民営化への抵抗がいかに強いか、私は身をもって経験しています。

私は財政投融資のALM(アセット・ライアビリティ・マネジメント、金融リスク管理の手法の一つ)システムをつくる際、日本政府のバランスシートを作成しました。そこで日本政府だけが資産、負債とも突出して多いことを把握しました。

しかしこの資料を幹部に見せて「資産を売れば財政問題は解決します」というと、「高橋、これだけはやめてくれ」という。

理由を尋ねると「国家運営上、このくらいの資産は必要だ」というので「こんなに資産をもっている国はほかにありません。他国は資産を売っても十分、国家運営ができています」と答えました。

すると、日ごろは国際比較が大好きで「こんなに日本は遅れている」といっている人が、今度は「わが国は違う」と言い出すのです。

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資産と負債の圧縮は簡単だ >

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