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増税を主張する官僚の本音 資産が「天下り」に使われている現実

2019年03月04日 公開
2019年04月03日 更新

高橋洋一(嘉悦大学教授)

政府資産の大半は天下りに使われている

普通の国であれば、負債が大きくならないように資産を売って負債を返し、資産と負債の両方を圧縮していく。これがスタンダードな考え方です。

ところが日本の場合、資産も負債も膨張したままで、資産に手をつけようとしない。

日本の純資産は「資産220% - 負債238%」=「対GDP比マイナス18%」。ドイツ、カナダ、アメリカよりは純資産額が少ないですが、フランス、英国、イタリアよりは純資産額が多い。

であれば、「まず資産を売って負債を減らす」のがバランスシートを保つための優先策のはずです。

では、なぜ日本の(財務省の)常識は違うのか。財務官僚が愚かで、会計の基本に気付かないからではありません。何よりも財務省が「資産」を抱え込むことが、同省の官僚に大きなメリットをもたらしているからです。

そのメリットは、「天下り先の確保」です。政府資産の大半は金融資産で、天下りに使われているものです。したがって資産の売却は天下り先を減らし、官僚の人生設計に狂いを生じさせます。彼らは自分の再就職先を守るため、「資産は売れない」と異を唱えているのです。

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