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拡大する韓国の武器輸出 日本が国益のために「取るべき行動」



2019年03月06日 公開

渡瀬裕哉(パシフィック・アライアンス総研所長)

韓国が日本の脅威にならないために

したがって、具体的には、日本政府は韓国の軍事力が日本の脅威になることを中長期的に防止するために手を尽くすべきである。

つまり、韓国軍の継戦能力の中核を成す韓国防衛産業に対する不断かつ徹底した制裁措置および対抗策を講じるべきだ。

軍事力はその国の防衛産業の力によって支えられるものであり、韓国から力を奪うことによって口では何をいっても実際の脅威になる状況を排除できる。

そうすれば同国が日本に対してどれほど無礼な対応を取ったとしても、その都度適切な経済制裁を加えてその態度を訂正させることも低リスクで可能となる。

すでに日本政府は昨年11月に、韓国海軍の基盤となる大宇造船海洋への過剰な公的資金投入を問題視し、WTO(世界貿易機関)での二国間協議を申し出ている。

このような対応は2015年の韓国政府による公的資金投入直後に実施すべきものなので、ようやく重い腰を上げたことについて最低限の対応を行なったものとして評価したいと思う。

防衛装備品を国産できない国は、自らの意思で軍事行動に踏み切ることは難しい。つまり、対外的な脅威にはなりえない。

したがって、日本政府が取るべき行動は、潜在的に軍事的脅威と化しつつある韓国の防衛産業の成長を徹底的に阻害することである。

韓国軍の防衛産業の能力低下は、好調な韓国の武器輸出による影響力拡大――防衛装備品の移転は、教育訓練も含めて長期的な関係を構築できる――に歯止めをかけ、韓国軍の戦力を低下させられることにより、日本の外交・安全保障戦略上の優位に直結するからだ。韓国の海外における防衛装備品市場を奪えばさらに効果的だ。

韓国の防衛関連企業は限られており、今後、日本政府および日本企業が同企業と何らかのかたちで契約することは極力避けることが望ましい。それらの行為は敵に塩を送るにほかならないからだ。

日本政府は日本政府および日本企業のサプライチェーン(製品やサービスが消費者の手に届くまでの全プロセスの繋がり)における韓国防衛産業との繋がりを調査し、それらを徐々に自国のサプライチェーンから切り離していくように誘導するべきだ。

少なくともその繋がりについて精緻に検証することを通じて、将来にわたって効果的な制裁を行なう前提となるデータを得ることができるようになる。

また、日本政府は防衛産業の輸出に力を入れると宣言しているが、その実績は韓国に比べて非常に遅れている。

実戦経験がほぼ存在しない日本製装備品への信頼性をいかに担保するか、輸出に関するさまざまな政府の支援や知財戦略の不在など、課題は多いが、日本政府は同分野において産業育成に力を入れて韓国製品を防衛兵器市場から追い出すべく力を入れるべきだ。

韓国製兵器は2006年の防衛事業庁設立以来、前保守政権の下で大きく飛躍してきている。

たしかに、韓国の防衛装備品は輸出先で事故を起こしているが、それをあざ笑う暇があるなら日本製兵器の売り込みへの精力を注ぐことが望ましい。

なにせ、日本の防衛装備品の輸出が成功した事例は、ほとんどないのだから笑っている場合ではない。

さらに、日本政府は韓国防衛関連企業が海外に輸出しようとしているインフラ調達案件についてもしっかりと競合していくべきだ。

たとえば、昨年、台湾の鉄道に対する入札に現代ロテムしか応札しなかったため、日本企業は車両部品を納品する下請けの立場に置かれている。

日本政府はインフラ輸出の強化に力を入れると謳っているが、このような本来は勝てる勝負にすら参加もしないという了見では話にならない。

このような行為の一つひとつの積み重ねが彼我の戦力構築の土台となることを知るべきだ。

当然であるが、日本政府が巨額のODA(政府開発援助)を入れている国の政府が韓国の防衛産業に発注を行なうことに、陰ながら圧力をかけていくことも忘れてはならない。

自国の税金で潜在的な敵国の産業を支援することほど馬鹿げたことはない。

韓国側もさまざまな対抗措置で日本に反撃してくるであろうが、日本側は韓国製品以外の代替製品を使うことで若干のコストが上がることを甘受すべきだろう。

日本の国内市場の大きさは韓国に対して圧倒的優位にあり、それらを最大限活用した対応を行なうべきだ。

前述のとおり、米国が北朝鮮・中国と直接対応している以上、日本も韓国と多少揉めることになっても問題ないと割り切るべきだ。

他国に対する威嚇的な態度を維持するためには、国内防衛産業基盤と潤沢な防衛予算が必要である。将来を見据えて韓国からあらかじめそれらを奪っておくことは非常に有益なことである。

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