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世界的哲学者マルクス・ガブリエルが指摘する、米中の“同盟関係”



2019年03月08日 公開

マルクス・ガブリエル(ドイツ・ボン大学教授)/取材・構成:大野和基(国際ジャーナリスト)

 

イデオロギーがなければ革命は成功しない

――ドイツの社会学者であるヴォルフガング・シュトレークは、EUの緊縮財政は、国債の買い手である資本家を安心させるために行なわれていると述べていますが、あなたはどう思いますか。

【ガブリエル】 それはたいへん興味深い見方だと思います。そうしたプロセスに加えて、EUに対する攻撃もあります。アメリカと中国という巨大な経済プレーヤーによるプレッシャーを過小評価すべきではありません。

この2カ国は、EUを破壊することに大きな関心をもっています。EUはアメリカと中国の主要な敵です。米中両国は経済面においてEUと戦う「同盟」です。

――新自由主義(ネオリベラリズム)への反感が強まっています。隣国フランスで起きた黄色ベスト運動をどうみていますか。これは民主主義の勝利ですか?

【ガブリエル】 フランスには独特の労働文化があるため、現在の状況で特別な反応を示します。

最低限の福祉を与えていれば、ドイツ人は抗議デモをしませんが、じつはフランスで起きた抗議デモも取るに足りない問題です。結局、マクロンは大統領の地位に就いたままで、何も起こっていません。

歴史上の革命と比べたら、今回の騒動が革命的な力をもつには程遠い。たとえ10万人が抗議デモをしても、6700万人のフランス国民からみればゼロに等しい。

今回のデモはたんなる象徴的な行為にすぎません。100万人が黄色いベストを着てデモをしても、革命を起こすには十分ではないでしょう。

――何が足りないのでしょうか。

【ガブリエル】 真の革命を起こしたければ、一連の確固たる思想が必要です。イデオロギーがなければ革命は成功しません。

それを可能あるいは不可能にするのは、インターネットです。インターネットはアメリカが(軍事)介入しないで、完全なコントロールを得るために開発した軍事手段であることを忘れてはなりません。

アメリカがイラクやアフガニスタン、シリアから撤退しているのはなぜか。

ドナルド・トランプが自国の兵士が殺されることに辟易したからではなく、もはや必要がなくなったからです。

同じ意味で、中国はインターネットを保持している。真の戦争が起きているのは、まさにここなのです。

表現の媒体が完全にコントロール下に置かれているかぎり、ネオリベラリズムに対する反撃という選択は取り得ません。 



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