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橋下徹「大阪都構想は、徹底的に考え抜かれた“実行プロセス”だ」

2019年04月12日 公開

橋下徹

 

大阪が変わり続けられるかどうかは、大阪の政治行政の「仕組み」次第

東京府と東京市が一つにまとまった東京都の成立は、1895年の帝国議会で案が出てから、1943年に実施されるまで、実に約48年かかりました。それを僕らは大阪において数年という短期間でやろうとしたので確かに少々無理があったのかもしれません。

大阪府庁と大阪市役所を解体して一つの組織にまとめる仕事は、普通に考えれば、10年仕事、いや下手をすれば50年仕事です。

大阪都構想の最終ゴールは、大阪都になって大阪都知事が大阪全体についてリーダーシップを発揮し、大阪都庁がその実行部隊になることですが、それまでの間、大阪全体のことをリードする人がいないというのは困ります。

そこで、暫定的に大阪全体のリーダーシップをとる「仕組み」として作ったのが、「大阪維新の会」です。「大阪維新の会」は大阪都構想を実現するための政治勢力であると同時に、大阪都になるまでの間、暫定的に大阪全体のリーダーシップを発揮するための仕組みでもありました。

というのも、府庁と市役所が喧嘩ばかりしていて、府知事と市長のどちらがリーダーかもはっきりしない状態を乗り越えるには、知事・市長、府庁・市役所を超えたもう一つ上のところに、さらなる意思決定機関を置く必要があったからです。

その仕組みが大阪維新の会です。

府民から選ばれた知事・市長を含む大阪維新の会という政治グループを大阪全体の政治行政の最高意思決定機関にできれば、府庁と市役所が揉めたときでも、大阪全体の統一的な決定を下すことができます。

課長どうしが揉めたときも、部局長どうしが揉めたときも、副知事と副市長が揉めたときも、最後はすべて大阪維新の会に持ってきてもらいました。

大阪維新の会のメンバーとしての僕と松井さんの会談は、まずは電話で折衝・調整。ほぼ毎日、松井さんと話していました。いつも焼き鳥屋かおでん屋がトップ会談の場所です。

松井さんは、肉は鳥しか食べません(笑)。生ものの魚もダメなんです。あの時期は、自分の妻と話すよりも松井さんと話している時間のほうが長かったように思います。

 

リーダーシップに個人の資質はいらない。必要なのは「仕組み」である

この大阪維新の会の仕組みをフル活用して、これまで府庁と市役所の間で長年揉めていた鉄道計画も高速道路計画も、すべてまとめあげることができました。

これからは、府全体の鉄道ネットワークが広がり、高速道路のミッシング・リンク(不結合部分)もようやくつながります。

止まっていた「うめきた」再開発というビッグプロジェクトも動き出し、放置されていた大阪湾ベイエリア部の活性化も、大阪万博開催やIR誘致を軸に動き始めました。大阪の経済戦略、観光戦略も府市で一本化され、確実に実行されるようになりました。

大阪が府市で一つにまとまると、やはり大きな力を生み出し、今、大阪の様々な指標は軒並み上向き始めています。

僕が大阪でリーダーシップを発揮できたのは、僕のリーダーとしての個人的資質ではなく、大阪維新の会が、知事・市長のポジションを獲り、府議会・市議会でも多数議席を獲って、さらに市長と知事を上司部下の関係にし、大阪維新の会の代表が大阪全体についてリーダーシップを発揮できる「仕組み」を作ったからです。

仕組みをきちんと作れば、リーダーシップは発揮できますし、逆に仕組みをきちんと作らなければ、どれだけ資質のある人間でもリーダーシップは発揮できないでしょう。なお、この「仕組み」の作り方については、新著で詳述していますのでここでは詳しくは触れません。

とはいえ、大阪維新の会は、大阪全体の意思決定を行なう「暫定的な」仕組みです。選挙の結果次第では崩壊してしまう仕組みです。この脆弱な仕組みを未来永劫、恒久的な法制度という仕組みに強化するのが大阪都構想です。

政治というものはインテリたちがよく好む単なるアイデア・知識の披歴や議論、おしゃべりではありません。組織を動かし、地域や世の中を実際に動かしていくものです。

そのためには知識だけではなく、エネルギーが必要であり、それは政治運動によって生まれてきます。大阪においてその主たるエンジンになっていたものが大阪都構想運動だと自負しています。

大阪都構想は2015年の住民投票でいったん否決されましたが、この大阪都構想運動があり、今も継続しているからこそ、これまで対立していた府市が一体とならざるを得なくなり、そのことによって大阪が本来の力を発揮し始めたのだと思います。

今回のW選で再び民意が得られたことにより、松井さん、吉村さんは再度の大阪都構想住民投票実現に向けて、リーダーシップを発揮していくでしょう。



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