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直木賞作家・真藤順丈が『宝島』に込めた沖縄への思い

2019年04月12日 公開

真藤順丈(作家)

真藤順丈(しんどう・じゅんじょう)
 

著書『宝島』で第160回直木三十五賞を受賞した真藤順丈氏。本作では、戦後の沖縄を舞台に物語が展開されていく。真藤氏は「沖縄問題」をどう捉えているのか。直木賞作家が考える「小説だからこそ伝えられること」とはーー。

※本稿は『Voice』5月号、「著者に聞く」真藤順丈氏の『宝島』を抜粋、編集したものです。

 

沖縄と東京は何が違うのか

――直木賞受賞、おめでとうございます。受賞作はサンフランシスコ平和条約が発効した1952年から、本土に返還される1972年までの「沖縄の20年間」が舞台です。戦後の沖縄をテーマに選んだ理由からお聞かせ願えますか。

【真藤】 日本は今年で、戦後74年を迎えました。人間の一生に照らすと古希を超えたわけです。そんなふうに考えると、1952年から1972年はまさに人格形成まっただなかの「青春時代」といえると思います。

当時の日本は、敗戦後のスクラップ&ビルドで現在の国のかたちを固めていく過程にあった。そのなかで何を取りこぼし、どんな歪みを生じさせてきたのかを探りたいという作家的な志向が、おのずと沖縄を題材に選ばせた。

イデオロギーを抜きにしても、日本人はあの時代のあの土地で起きていたことを看過してはいけないという想いがありました。

――真藤さんは東京の出身とうかがいました。沖縄に興味を抱き始めたのはいつごろでしょうか。

【真藤】 歴史的な背景を知るために関連書籍に目を通しはじめたのは20代のときです。沖縄で基地がらみの事件が起きて、報道の扱いに違和感をおぼえるたびに「沖縄と東京は何が違うのか」と疑問を膨らませていました。

そうやって畜積していった沖縄への想いが1つの物語に流れ込んだのが、本作といえると思います。

――物語は、「沖縄の英雄」であるオンちゃんが姿を消した場面から始まります。彼は米軍の施設から医療品や食料を盗んで住民と山分けする義賊のような存在「戦果アギヤー」として描かれています。

【真藤】 僕にとって戦果アギヤーは、戦後の沖縄を考えるうえで重要な存在だった。物語はオンちゃんが消えた謎を追うミステリーの要素を「縦軸」に、同じく戦果アギヤーだったグスクとレイ、そして彼らと幼馴染のヤマコの人生を「横軸」に据えました。

戦果アギヤーの半生を通して、あのころの激動の沖縄をともに生き直していくような近現代史小説、青春小説、冒険小説を紡いでいければ、それは新たな視点になると思っていました。

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