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辛坊治郎 「2025年大阪万博の見所は人間の“生きた心臓”」

2019年05月15日 公開
2019年05月15日 更新

辛坊治郎(大阪綜合研究所代表)

人間の「生きた心臓」が見られる?

――2025年の万博を日本にとって意義のあるイベントにするにはどうすればよいでしょうか。

【辛坊】 いまの日本が万博で披露すべきはただ1つ。全世界に比べて圧倒的に進んでいる生命科学、iPS細胞(人工多能性幹細胞)です。

幸い、2025年の大阪・関西万博の招致では、山中伸弥教授(京都大学iPS細胞研究所所長)が特使として活動していました。

山中教授によると、iPS細胞から心臓や肝臓などのすべての臓器が作製できる時代が近々来る、というのです。あとは細胞を立体的に組み上げて臓器をつくる段階まで、技術は進歩している。

これは私の希望でもありますが、2025年の万博では、iPS細胞からつくった生きた心臓を展示してほしいと思います。

1970年大阪万博の展示の目玉は、ガラスケースに入った月の石でした。アメリカのアポロ計画で持ち帰られた月の石を見るために、じつに6000万人が大阪・千里の丘陵に訪れたわけです。

人間の心臓は、いまの世の中でも「自分の目で見たいもの」になるでしょう。動画で見るのと現地で見るのとではおそらく感じ方も違う。

また日本の法律では、臓器移植のときは脳死が人の死と認められますが、それ以外は心臓が止まる心停止が基本です。では、展示されている動く心臓は生きているのか、生命ではないのか。

物議を醸す展示にはなるでしょうが、「生命とは何なのか」という人間の根源的な問いを提起する契機になるのではないでしょうか。2025年までの6年間でさらに技術が進み、世界があっと驚く展示を見られることを期待しています。

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