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「戦わなければ守れないものがある」 俳優・西島秀俊が『空母いぶき』を通して感じたこと

2019年05月09日 公開
2022年12月26日 更新

西島秀俊(俳優)

日本の平和を守るという目的は同じ

西島秀俊「いぶき」艦長の秋津竜太(西島秀俊さん、左)と副長の新波歳也(佐々木蔵之介さん)©かわぐちかいじ・惠谷治・小学館/『空母いぶき』フィルムパートナーズ

――一方、佐々木蔵之介さん演じる「いぶき」副長の新波歳也(二佐)は、秋津と自衛隊の同期ではありますが、海上自衛隊出身。「船乗りは仲間と運命を共にするもの」と考える彼の姿は、孤高のパイロットだった秋津とは対照的です。

【西島】 蔵之介さんは、本当に新波のような方だと思います。新波は秋津と違って、なるべく平和的手段によって戦闘を避けようとするキャラクターですが、蔵之介さんも最初の顔合わせと本読みのときから、本気でそのように考えていることが伝わりました。

実際に蔵之介さんに詳しく話を聞いたことはないですけれど、ある理想をもってそこに邁進していく方だと思います。僕はどちらかというと、「戦わなければ守れないものがある」とどこかで思っているようなタイプだと、役を演じていくなかで考えました。

――キャラクターと演者の思いがシンクロしているのですね。

【西島】 もちろん、僕や蔵之介さんが演じたのは自衛官ですから、上からの命令に応じて答えを導き出しています。

でもその決断のなかには、それぞれが抱いている思いが込められている。彼らが行動の裏でどんな考えを巡らせているのかも、本作の見所の1つでしょう。

空母いぶき,西島秀俊――新波が「創設以来、1人の戦闘での死者を出したことがないのがわれわれ自衛隊の誇り」と発言したのに対し、秋津が「われわれが誇るべきは、国民に誰1人として戦争犠牲者を出していないこと。国民を守るために死ぬのなら、自衛官として本望」と反論したシーンが印象的でした。

【西島】 秋津と新波は性格も考え方もまったく異なるけれど、手段が異なるだけで、日本の平和を守るという目的は同じです。艦長と副長の両者が議論してぶつかり合うことで、最善の道を探っていく。

どちらが正しいということではなく、意見を戦わせていくなかで、前に進んでいくのだと思います。

 

■『空母いぶき』
監督:若松節朗
出演:西島秀俊、佐々木蔵之介、本田翼、佐藤浩市ほか
上映:5月24日(金)より全国ロードショー
配給:キノフィルムズ
©かわぐちかいじ・惠谷治・小学館/『空母いぶき』フィルムパートナーズ

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