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シリコンバレーで成功すれば、世界で勝てる

2019年06月27日 公開
2020年07月21日 更新

酒井潤(シリコンバレー・エンジニア)

世界の時流に乗らなければ売れない

いうまでもなく、アメリカは世界第一の経済大国であり、シリコンバレーがアメリカのIT業界を引っ張っています。

さらに、シリコンバレーのベンチャー・キャピタルは次に流行る分野を予想しています。シリコンバレーのベンチャー・キャピタルが、たとえば「次はAIがくる」と決めた時点で、必ずそうなるという事実を理解することが重要です。

私は、AIがいずれ世界を支配するというようなSFは信じていませんが、実際にそのような認識が少しずつ人びとのあいだには広がってきています。シリコンバレーのベンチャー・キャピタルによる投資判断は、そうした想像を強いるだけのインパクトがあるわけです。

自身も投資家であるイーロン・マスク氏(テスラ、スペースXの共同設立者およびCEO)は世界有数の「お金持ち」の一人ですが、彼のような人が事業を始めたら、その分野が「次の流行り」だとみてよいでしょう。

マスク氏は現在、ロケット事業に力を注いていますが、この分野にベンチャー・キャピタルもどんどんお金を出しています。このように考えると、次にくる分野をみつけるのは簡単ともいえます。

シリコンバレーのトップ企業のCEOがやり始めたとか、ベンチャー・キャピタルが投資し始めたという情報をみれば、ある程度その予測はできるのです。

本来であれば、社会問題の解決に役立つような技術に先行して投資がなされるべきですが、現実はそうなっていません。

ロボット開発の分野でいえば、たとえば犬型ロボットよりも、世界の貧困層が飢餓にならないための自動農業ロボットや、医師の手術が難しい特殊なガンを治す医療ロボットなどのほうが、世の中のためになるかもしれません。

しかし、それは儲からないといった理由から、社会に必要な技術には投資されないという悲しい現実があります。

いずれにしても、世界の強国であるアメリカのシリコンバレーの「動き」に注目していれば、次に流行る分野をみつけるのは、そう難しいことではないと思います。

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