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どのような問いを立てるかで人生の志が決まる

2019年07月03日 公開

石川善樹(予防医学研究者)

石川善樹

どのような問いを立てるかで人生の志が決まる――。予防医学研究者の石川善樹氏が、「では派」と「とは派」の違いをもとに、人生の指針を持つための考え方のコツを語る。

※本稿は月刊誌『Voice』(2019年7月号)石川善樹氏の「問い続ける力」より一部抜粋・編集したものです。

 

「では派」と「とは派」の二分類

――石川さんは予防医学研究者として、「人がよりよく生きるとは何か(Well-being)」をテーマに企業や大学と学際的研究を続けるほか、メディア出演や講演でご活躍されています。

そして今回、上梓された書籍のタイトルが『問い続ける力』。本書の冒頭では、「では派」と「とは派」の違いを書かれていますね。

【石川】 「では派」「とは派」の二分類は、僕としてはとてつもない大発見なんですよ(笑)。とにかく、このエッセンスを多くの方に伝えたい。その想いから本書をつくったといっても過言ではありません。

「では派」とは、「○○では……」と誇りたがる人のことです。誰しもが、物事を説明する際に「世界では……」「最新研究では……」「ある識者の意見では……」と相手に話した経験があるでしょう。僕もその1人であり、いま38歳ですが、30歳を過ぎても「では派」でした。

ただし、それでは新しい何かを生み出すことはできません。いくら巧妙に「○○では……」と披瀝できたとしても、右のものを左に移しているだけともいえる。

一方の「とは派」は、「△△とは何か?」を自問する人たちを指します。彼らは1つのことを納得がいくまで考える。典型的な例が本居宣長でしょう。

彼は「日本人とは何か」という問いに対して、他人の言葉ではない、自分の答えを探し続けた人物でした。

驚くべきことに、『古事記』の冒頭に出てくる「天地」という2文字の意味を考えるためだけに、5年もの歳月を費やしたといいます。

現代でいえば、小泉進次郎議員も気持ちがいいくらいの「とは派」です。いまでも覚えているのが、以前の選挙で自民党が大勝した際、彼がニュース番組に出演したときのこと。番組のキャスターが彼に「大勝ですね、国民の声にどう応えますか」と問い掛けました。

――普通の政治家であれば、お決まりの無難な発言をする場面です。

【石川】 そうですね(笑)。「私たちが選挙活動を通して訴えてきたことが、国民の皆さまにご支持いただいたものと理解しています」などと返答するのが普通でしょう。

しかし、彼は違った。「政治における勝利とは何でしょうか。それは選挙に勝つことではない。この国の可能性を最大限引き出すことです」と返した。呆気にとられたキャスターの様子をよく覚えています。

もっとも、本居宣長や小泉進次郎議員のような「とは派」になるための道は、じつは苦しみに満ちている。「では派」が答えを求めるのに対して、「とは派」は問いを求めている。後者になるためには、まさに問い続けなければならないわけです。

――常日頃から、社会に対して深い問題意識を抱えている人はいるようでいない。「わかりやすい」ニュース解説が求められる時代になっていますからね。

【石川】 どのような問いを立てるかは、自分が人生で何を追い求めるか、「志」の高さをそのまま表すでしょう。本居宣長でいえば、「日本人とは何か」という壮大な問いに生涯を懸けて向き合いました。

「△△とは何か?」の三角の部分に何を当てはめるのか。その答えが、自分の人生を決めるといっても過言ではありません。僕の話をすれば、40歳までに自分なりの問い、すなわち志を決めて、そのあとの人生を費やしてじっくりと向き合いたいと計画しています。



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