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「拘束4時間」ウイグル人と誤認された日本人 中国は何を怖れているのか?



2019年06月20日 公開

福島香織(ジャーナリスト)

 

100万人以上のウイグル人が強制収容されている!

私が日本人であったから普通の観光客であると結論付けられたのだが、もし私が本当にウイグル人であれば、工場の写真を撮っていただけでテロリスト容疑を掛けられて、そのまま逮捕されたかもしれない。

あるいは、カザフスタン人やキルギス人であっても逮捕されたかもしれない。私は無事帰ってこられたが、帰ってこられずに監獄や"収容所"に送り込まれたウイグル人の数はいったいどれくらいに上るのだろう、とそのとき恐ろしく思った。

あれから6年。こうした根拠不明の言いがかりで強制的に収容されているウイグル人がじつは100万人、あるいは200万人以上いる、という報告が国際社会で明らかになりつつある。中国に暮らすウイグル人は約1100万人。つまり10人前後に1人の割合で、身体の自由を奪われているウイグル人がいるのだ。

2018年8月にジュネーブで開かれた国連人種差別撤廃委員会では、最大200万人規模のムスリムが中国で強制収容施設に入れられて再教育を受けている、と報告された。

BBCや『ニューヨーク・タイムズ』の報道をもとに詳しく述べると、8月10日の会合で、米国のゲイ・マクドゥーガル委員が、中国政府が「ウイグル自治区を大規模な収容キャンプのようなものにしている」と報告、被収容者数が少なくとも100万、あるいは200万人に上ると訴えた。

これに対し13日の会合で、中国代表団はこの報告を「完全な捏造」と反駁
(はんばく)。

委員会に参加していた統一戦線部第9局副局長でもある胡連合(これんごう)は「職業訓練所はたしかに存在するが、強制収容所ではない」「100万人も収容されていない」「ウイグル人を含む新疆の市民は平等な自由と権利を享受している」と答えたうえで、ただ「一部に宗教過激派分子に騙された人がいて、彼らの社会復帰を支援している」と悪びれることなく主張した。

中国側が、新疆の問題について、ここまで公開の場で反佀するのは珍しいことであり、このニュースは国際社会の注目を浴びた。マクドゥーガル委員は、この中国の言い分に対して「100万人が多いというなら、何人収容されているのか?」と反論している。

8月30日の最終会合において、国連人種差別撤廃委員会は「中国の法律におけるテロリズムの定義はあまりに広く、過激主義のあいまいな引用と分裂主義の定義も不明確」と批判したうえで、目下勾留中のウイグル人の即刻釈放や、勾留人数や勾留理由の提示などを中国政府に求める総括を行った。

中国共産党のウイグル人への迫害はいまに始まった話ではない。だが、習近平政権になってから打ち出されている対ウイグル政策は、これまでとちょっと様相が違う。

"再教育施設"に100万人収容、という例を取っても、中国共産党に刃向かう反体制派を抑え込むというレベルから、ウイグル全体の民族・文化・伝統そのものを"改造"しようといわんばかりの苛烈さを感じさせるではないか。

いったいいま、新疆ウイグル自治区で何が起きているのか?



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