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「劉邦から習近平まで」中国の権力者に共通する“ある伝統”



2019年07月09日 公開

石平(せき・へい:評論家)

 

"中華帝国の脅威"とどう向き合うのか

悪党の劉邦が強敵の項羽を倒して漢王朝をつくり、この漢王朝においてこそ、中国という国の骨格がつくり上げられた。同じ悪党の武照は皇后になってからは性格の弱い皇帝の高宗を圧倒して権力を独占し、やがて自らの王朝を開いて中国史上、唯一無二の女帝となった。

いってみれば、腹の黒い悪党ほど権力を握って天下を取るのは中国史上の鉄則であって、中国の歴史と中国という国のかたちはこのようにしてつくられていった。まさに、中国をつくったのはまさに悪党たちなのだ。

このような伝統は、現代になっても生きている。現代中国をつくった「建国の父」といえば毛沢東であるが、この毛沢東はまた、劉邦や則天武后の何十倍以上の腹の黒さを持つ天下一の大悪党なのである。この稀代の大悪党は、大悪党であるがゆえに天下を取って、27年間にもわたって中国を支配した。

そして、毛沢東と肩を並べて自らの名前を冠とする「思想」を憲法に盛り込んだのは現役の中国共産党総書記・国家主席の習近平である。

この彼はまた、毛沢東に負けないくらいの独裁志向をもって自らの個人独裁体制を固め、いわば「腐敗摘発」という武器を使って共産党内の大粛清を行なった。

その一方、習政権は対内的には人権派や民主派に対する弾圧をよりいっそう厳しくて、ウイグル人やチベット人に対する前代未聞の民族浄化政策を進めている最中だ。

国外的には南シナ海の軍事支配化を進め、アジア全体を中国の支配下に置こうとしているのである。いってみれば、中国伝統の悪党はいまでも健在するばかりか、中国人民だけでなくわれわれアジア全体に災いをもたらそうとしているのではないか。

このような中国伝統の悪党と中華帝国の脅威に対して、われわれはいったいどう対処すべきなのか。それは今後、われわれの文明世界にとっての大問題の一つであるが、対応策を考えていくためには、われわれはまず、「中国の悪党」の正体とその本質を正しく認識しておくべきことだ。

「彼を知り己を知れば百戦殆(あや)うからず」というのはまさに中国人古来からの知恵でもあるが、われわれもこの知恵を拝借して、まず「彼を知る」ことから始めるべきだ。



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