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韓国と対峙するうえで想定すべき“国際世論戦”

2019年08月06日 公開
2019年08月06日 更新

渡瀬裕哉(パシフィック・アライアンス総研所長

トランプ大統領にとって興味深い対日カード

さらに、文大統領がトランプ大統領に日本政府の輸出管理運用見直しについて仲裁を依頼したことが明らかとなっている。

もちろん安倍首相とトランプ大統領はきわめて良好なリレーションを維持しているため、韓国側の主張が理不尽な形で日本に押し付けられる可能性は高くないだろう。

ただし、韓国側から対日関与の依頼がトランプ大統領に行なわれたことは、同大統領にとっては興味深い対日カードを新たに1つ手に入れたことを意味している。

安倍政権とトランプ政権との貿易交渉は参議院議員選挙後に大詰めを迎える段階となっているが、そのような重要な局面において本件はトランプ大統領に無用な借りをつくってしまうことになるだろう。

仮にトランプ大統領が同見直し措置の問題に介入する場合、それは日本の対韓政策の敗北といえる。

したがって、安倍政権はトランプ政権による介入を絶対に回避しなくてはならないため、トランプ政権は労せずして日本政府に対してきわめて有効な貿易交渉カードを手に入れたことになる。

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