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朝鮮戦争で「戦死」した日本人がいる事実

2019年08月19日 公開

江崎道朗(評論家)

 

「なかったこと」にしてはならない歴史

この質問に対する中曽根政権の答弁は、次のようなものだ。

《御指摘の件については、御指摘の刊行物及びその他の刊行物に種々の記述がなされているところであり、また、かつて、国会において議論がなされたところでもあるが、今日においては、正確に事実関係を示すことは困難である。なお、御指摘の掃海部隊の派遣は、米国極東海軍司令官の指令に従つて行われたものと承知している》

実に素っ気ない答弁書だ。

中曽根政権の素っ気ない答弁からもわかるように、日本政府は、憲法九条違反だと非難されたくないためか、朝鮮戦争と日本との軍事的関わりを「なかったこと」にしようとしているのだ。

あたかも朝鮮戦争が起こっても、日本は何の関係もなかったし、関係を持たずに済んだかのように偽装し、当時の記録をきちんと保存し、整理することさえも怠っている。

しかし、吉岡議員が指摘した項目はすべて、朝鮮半島や台湾といった近隣で戦争、紛争が起こったときに、日本として対処しなければならないことばかりなのだ。

貴重な先例、歴史を踏まえてこそ、適切な対応をとることができる。
にもかかわらず、危機管理上、極めて重要な「歴史」を「なかったこと」にし、その記録を整備していない日本政府は、極めて無責任だと断じざるをえない。

日本政府がこうした自己欺瞞に逃げ込んでいるので、日本人の大半は、朝鮮半島や台湾で戦争が起こっても、日本は無関係でいられると、すっかり誤解してしまっているようだ。

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