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「育児は母親がすべき」は“神話”にすぎない

2019年09月10日 公開

山口慎太郎(東京大学経済学部准教授)

山口慎太郎

「赤ちゃんには母乳が一番。愛情たっぷりで頭もよくなる」「3歳までは母親がつきっきりで子育てをすべき」。といった言説がよく聞かれる。しかし、東京大学経済学部准教授で、結婚・出産・子育てなどをデータ分析の手法から研究する山口慎太郎氏は、そのような「俗論」はエビデンスを欠いた思い込みにすぎない、と指摘する。

※本稿は月刊誌『Voice』(2019年10月号)、「著者に聞く」山口慎太郎氏の『「家族の幸せ」の経済学』より一部抜粋、編集したものです。

聞き手:編集部(中西史也)

 

「神話」と「真実」を分ける

――結婚、出産、子育ての「俗論」を、海外の事例やデータ分析の手法から検証した『「家族の幸せ」の経済学』。本書はどういった動機から執筆に至ったのでしょうか。

【山口】 出産や育児のテーマは個人の信念や経験に基づく「神話」が語られることが多い、と感じていました。たとえば「3歳までは母親がつきっきりで世話をすべき」との主張は科学的根拠が乏しい、といわざるをえません。

しかしそういった俗論がまことしやかに広がり、信じ込んでいる人も多い。そこでデータ分析によって「神話」と「真実」を分けることを本書ではめざしました。

――「3歳までは母親がつきっきりで世話をすべき」とする考えは、日本的な家族愛として、尊重されてきた気がするのですが……。

【山口】 2つの観点から考えることができます。1つは、子供は1歳までは親ないしは養育者と親密な関係を築くことが大事である一方、1歳を超えると、家族以外の人と接することで社会性を身に付けていく必要があること。

もう1つは、子供を育てるのは必ずしも「母親」でなくてもいい、ということです。

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