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イギリスのミカサストリートよ、永遠に

2019年09月15日 公開

岡部伸(産経新聞論説委員・前ロンドン支局長)

岡部伸

写真:「MIKASA ST」(ミカサ・ストリート) 撮影:岡部伸(以下同)

日露戦争の日本海海戦(1905年)で、ロシアのバルチック艦隊を撃破した連合艦隊の旗艦「三笠(みかさ)」。建造地である英イングランド北部の造船の町、バロー・イン・ファーネスでは、今も市民たちがその歴史を語り継ぎ、誇りに思っていた。

※本稿は、岡部伸著『イギリスの失敗』(PHP新書)より一部抜粋・編集したものです。

 

市長室に飾られる東郷平八郎が贈呈した陶器

「三笠」が建造された1900年に名付けられた「MIKASA ST」(ミカサ・ストリート)の命名は、以来119年間、日英が戦った第2次大戦を経ても、名前を変えずに残っている。

また、バロー中心のタウンホール(市庁舎)の市長室の真ん中には、透明のガラスケースに入れた日本製の大皿が大切に飾られている。

日露戦争後の1911年、英国王ジョージ5世の戴冠式のため渡英した東郷平八郎がバローに足を延ばし、「三笠」建造の感謝のため当時の市長を表敬訪問し、連合艦隊を代表して贈呈した手製の「金華山焼」の陶器だ。

ロシアを打ち破った東郷の偉業に敬意を表して、寄贈品の大皿の隣に「三笠」のブリッジで海戦の指揮を執る東郷元帥らを東城鉦太郎画伯が描いた『三笠艦橋之圖』の写真が誇らしげに添えられていた。

日英が干戈(かんか)を交えた第2次大戦中も、大皿が市長室から撤去されることはなかったという。

トンプソン市長は、「ミカサはわれわれの誇り。日本と交戦しても、私たちが造ったミカサの歴史は変わらない。今後もミカサ・ストリートの名称を変えるつもりはないし、市長室の記念品も永遠に飾り続ける」と語っ
た。

草の根の日英市民の交流は深く強い。

写真:東郷贈呈の記念品と並ぶバローのトンプソン市長
岡部伸(産経新聞論説委員・前ロンドン支局長)

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