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「負けるはずがない」イギリス「ワースト宰相」が犯した過ち

2019年09月20日 公開
2023年02月01日 更新

岡部伸(産経新聞社論説委員/前ロンドン支局長)

EU離脱の不利益、障害を国民に説明せず

キャメロン氏の大きな過ちは、国民投票前の時点で、EUから離脱すればどのような手続きが必要で、どのような不利益が生じるのか、広く議論も検討もせず、国民に説明していなかったことだ。国民は離脱を承認しないと、踏んでいたからである。

現在、ブレグジットの最大の障害になっているアイルランド国境問題についても、十分な議論がなされた形跡はない。イギリスがEUから離脱すると、北アイルランドとEU加盟国アイルランドとの国境管理が復活して、再び紛争が激化する恐れがあるという警告を国民に発していなかった。

通常、政権側が国民投票で政策を問う場合は、現状を変えたい時である。キャメロン政権はEU残留を訴えておきながら、離脱の是非を国民に問うたという点でも、異質な選挙だった。

どのような結果をもたらすか熟慮せずに国民投票を仕掛けて、英国社会を混乱の極致に陥れた張本人として、キャメロン氏には英国憲政史上、「ワースト宰相」という汚名が着せられるであろう。

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