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英国が「日英同盟」復活を急ぐ理由

2019年10月16日 公開

岡部伸(産経新聞論説委員・前ロンドン支局長)

インド洋、太平洋地域の安定のために

ただ現在、「日英同盟」はあくまで准同盟関係であって、すなわち戦争に備える軍事同盟ではない。

海洋安全保障、テロ対策、サイバーセキュリティ、インテリジェンス、人道災害支援、平和維持活動、防衛装備品開発など、多様化する安全保障のあらゆる分野で包括協力し、関係づくりを目指している。

一方、1902年に調印された日英同盟は、ユーラシアの内陸国家であるロシアが領域外に拡大しようとするのを、ユーラシアの西と東の海洋国家である英国と日本が連帯して阻止する軍事同盟だった。

その後2回、条約が更新され、1923年に解消されるまで、20年余り続いた。

日清戦争後、日本はロシアが満洲から朝鮮半島に関心を示していることを警戒した。ロシアが朝鮮半島にとどまらず、日本にも版図を広げる野望があることを見抜いていた。

英国もロシアが中国や中東地域へ進出しようとしていることを警戒。しかし、南アフリカでの戦争に注力し、アジアに展開する余裕がなかった。

そこで「光輝ある孤立」(Splendid Isolation)を貫いていた英国が極東の新興国・日本を同盟の相手に選び、その力を借りたのだった。

大英帝国の様々な支援で1904年に勃発した日露戦争で勝利すると、日本は国際社会で揺るぎない地位を築いた。

しかし、米国が日本の台頭を警戒したことで、日英同盟は1923年に幕を閉じた。

米中摩擦の激化が懸念される現在、日英が安全保障の面で、再び協力の強化を進めることは、インド洋から太平洋にかけての地域の安定にとって大きな意義があろう。

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