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河野克俊&村田晃嗣 「専守防衛を再考せよ」

2019年11月16日 公開
2022年07月08日 更新

河野克俊(第五代統合幕僚長)&村田晃嗣(同志社大学法学部教授)

「専守防衛」は突き詰めれば本土決戦

河野克俊

【河野】 憲法には記されていませんが、日本は防衛政策として「専守防衛」を謳っていますね。この方針は防衛費にも影響しています。

一般的に、攻撃兵器よりも防御兵器のほうが莫大な金額がかかります。攻撃兵器の保有を前提として防衛力整備をすれば、5兆円の防衛費の範囲内でもかなりのことができ、日本の防衛力の体系が変わってきます。

【村田】 攻撃はある程度目標を定められますが、防衛はあらゆる事態を想定する必要があるぶん、コストがかかる。

専守防衛という言葉が安全保障の用語として定着した冷戦期の安全保障環境と、現在の状況は大きく異なります。

専守防衛は突き詰めれば、本土決戦をするということです。この言葉が呪文のようになって使われるのは好ましくないでしょう。

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