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そして中国も北朝鮮も韓国を捨てる

2019年11月12日 公開
2022年10月27日 更新

室谷克実(評論家/韓国問題研究家),渡邉哲也(作家/経済評論家)

室谷克実(評論家・韓国問題研究家)&渡邉哲也(作家・経済評論家)※画像はイメージです。

日本に対して強気一辺倒の外交を繰り返してきた韓国。その一方で、中国や北朝鮮には無警戒でいる。特に北朝鮮に対してはさかんに「平和経済」を提案しているが、北朝鮮から返ってくる答えは「ミサイル」である。日本を上回る経済強国にならなければいけない、という面も含めて、文在寅政権の姿勢はすべて勘違い、妄想から生じているのにすぎないのではないか。

※本稿は、室谷克実・渡邉哲也著『韓国経済はクラッシュする』(悟空出版)より、一部抜粋・編集したものです。

 

「一人飯の大統領」と揶揄された文在寅

【室谷】 韓国の勘違いというか誤算というか、日本に妥協せず、アメリカにも怖い物知らずなのはいいとしても、中国や北朝鮮には無警戒というか、必ず自分たちのために動いてくれることと信じていますよね。

中国も北もさんざん文在寅政権を冷遇しているのに、あれはどういう思考なのか。

【渡邉】 中国に文在寅政権を尊重する気は、まったくなさそうですけどね。

【室谷】 そうなのですよ。よかったかどうかは別として、朴槿恵は天安門で習近平とともに軍事パレードを見た。歓待された。

しかし文在寅は、国賓で訪問したのにほとんど放っておかれた。訪中の際、十数回の食事があったのですが、中国要人が出席したのは2回だけ。「一人飯の大統領」と揶揄された。

【渡邉】 これは想像するしかありませんが、韓国側には、まず経済面での未練めいた感情があるのではないでしょうか。貿易相手で見れば、かつてはアメリカに輸出していたのが、中国がメインになった。

特にリーマンショックのあと韓国経済がしばらく好調だったのは、中国側にまだ技術や生産拠点がないうちに、急速な経済成長の恩恵を受けられたからですよね。

【室谷】 でも、もう過去の話になりつつあるでしょう。

【渡邉】 そうです。韓国もまた中国側からしばらくマーケットを提供する代わりに技術やノウハウを収拾されて、いまではライバルですよ。

しかも、国の大きさも軍事力も比較にならない。こうなったら、わざわざ中国にいてもらう必要はありません。

THAAD(終末高高度防衛ミサイル)問題はいい契機で、中国側で代替できる韓国の小売りや自動車を追い出しにかかったとしか見えません。

【室谷】 これもまた、誇大妄想的なのですよね。要するに韓国の特に現政府は、自分の都合だけで勝手にビジョンめいたものを描いて、相手はついてくると本気で思っている。

なぜなら「自分たちは正しい」から。北朝鮮に向かってさかんに「平和経済」なる提案をしていますけれど、これもまた同じ構図ですよ。

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