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シリコンバレーから学ぶべき、助け合いの精神

2019年12月21日 公開
2021年01月14日 更新

松本千尋(BlueStacks日本カントリーマネージャー)

松本千尋

BlueStacksの新サービス「Game.tv」プレス発表会の様子。左から、「どうぶつタワーバトル」開発者の藪崎裕太さん、松本さん、ローゼン・シャルマCEO、加藤純一さん


就職や転職など、キャリア選択について悩む人は多い。米シリコンバレー企業BlueStacksで日本カントリーマネージャーを務める松本千尋氏は、自分の「好き」を追求してチャレンジし続ければ、新たなキャリアの道がひらけてくる、という。その背景にはシリコンバレーでの経験があった――。シリコンバレーから学ぶべき精神とは。

※本稿は月刊誌『Voice』2020年1月号、松本千尋氏の「カントリーマネージャーとして働く」より一部抜粋・編集したものです。

聞き手:編集部(加瀬悠大) 

 

目指すは「ゲーム大会」をコンセプトとしたeスポーツ

――先日、eスポーツの分野で新たな事業を立ち上げたそうですね。日本でゲームは教育や競技の対極にあるものという印象をもつ人が多いかもしれません。BlueStacksとしては今後どのような展開をめざしていくのでしょうか。

eスポーツというと、プロゲーマーが高額賞金の大会で順位を競うイメージがあると思います。

実際に欧米ではプロゲーマーが多額の賞金を稼いで、人気の職業になりつつある一方で、日本では環境が整っていない。

当社の新たなサービスである「Game.tv」は、プロゲーマーなどのトップ層に対するサービスというより、一般の方でも簡単に大会を主催し、参加できるようにサポートするサービスです。

日本でeスポーツをより盛り上げていくには、どんな方でも気軽に参加できる「ゲーム大会」のコンセプトが重要だと思っています。

じつは、加藤さんも同じような考えを持っていることを知っていたので、「Game.tv」のPRにもご協力いただきました。

関係者からは、プロゲーマーを起用しては?との声も当初挙がりましたが、一見、eスポーツとはまったく縁のなさそうな加藤さんに「Game.tv」を宣伝してもらうことが逆に効果的だと感じていました。

加藤さんとのお仕事は、私なりに一つひとつ深い理由があって取り組んでいるのですが、周りの人からは、私がただ加藤さんのファンだからやってるんだろう、とよく言われてしまいます(笑)。

 

夢やぶれても道はひらける

――松本さんは今後のキャリアについてどう考えていますか。

【松本】 先のことはわからない、というのが正直なところです。私は転職活動中、どうしたらシリコンバレーに戻れるだろうかと試行錯誤して、いろいろな人に相談しました。

とくに印象に残っているのは、いまメルカリでCBO(最高事業責任者)兼アメリカ法人のCEOを務めているジョン(・ラーゲリン氏)の言葉です。

私が転職活動をしていたとき、彼はフェイスブックのVP(ヴァイス・プレジデント)でしたが、見ず知らずの私の突然のメッセージにもすぐに返信をくれ、親身に相談に乗ってくれました。

なぜこんなに良くしてくれるのだろうと不思議に感じていたところ、「シリコンバレーは助け合いだから」「僕に連絡をくれたあなたの行為はとても勇気があるから」との言葉に感激しました。

――具体的には、どんな相談をされたのですか。

【松本】 まずは、どうしたらシリコンバレーに戻れるかという相談に乗ってもらいました。ジョンからの助言もあり、BlueStacksと、某大手IT企業日本法人から内定をいただくことができました。

シリコンバレーに戻りたかったのでBlueStacksにいきたい気持ちが強い半面、その選択には一抹の不安もあった。

そんなときに再びジョンに悩みを打ち明けると、「BlueStacksを選んだほうがいい。そこでの経験があれば、将来どの会社でもやっていける」との助言が届いた。そうして私は、転職を決心することができました。

シリコンバレーは、何かを成し遂げようと奮闘する人には、必ずチャンスを与えてくれます。たとえ失敗しても、チャレンジしたことをプラスに捉え、助け合う文化がある。

一度は「テレビ制作に携わる」という夢にやぶれた私も、いまはゲームという異なる切り口からコンテンツビジネスに関わり、大好きなクリエイターさんといろいろな企画をご一緒する機会に恵まれています。

最初はうまくいかなくても、信念をもち、自分の「好き」を追求してチャレンジし続ければ、新たなキャリアの道がひらけてくるのではないでしょうか。

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