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米民主党は「弱者のための政党」は本当か

2019年12月31日 公開

渡辺惣樹(日米近現代史研究家)

渡辺惣樹(日米近現代史研究家)※写真はイメージです。

トランプは、内政(とくに経済)も外交も、無難以上の舵取りで国民を喜ばせている。そうでありながら、彼の政治のほぼすべての場面で民主党は反対に回った。2018年の中間選挙ではたしかに下院だけは過半数を制したが、それは投票率の低さが反映した結果であり、投票率が高くなる大統領選挙での勝利は難しい。

メディアは相変わらず、反トランプの報道姿勢を変えていないが、アメリカ国民は、本物のトランプはメディアの作り上げた「人種差別的で、外国人嫌いで、女性を蔑み、反知性だ」というイメージとは相当に違うことに気付いている。

※本稿は、『アメリカ民主党の崩壊2001-2020』(PHP研究所)より一部抜粋・編集したものです。

 

権力を握るための手段(方便)

19世紀半ばから20世紀半ばまで民主党は、白人至上主義の人種差別政党であった。しかし、戦後、次第に民主党支持の中心であった南部白人層が豊かになるに従い、人種差別意識が薄らいでいった。

民主党は見事なほどの方向転換を図り、弱者のためのリベラル政党としてカメレオン的変身を果たした。

弱者の代表がアフリカ系(黒人)であり、遅れてやってきたラテン系(中南米・カリブ海諸国からの移民)であった。

さらに、フェミニズムの興隆を利用して女性層を取り込み、環境問題意識が高まると過激環境保護主義者をも引き入れた。

民主党の差別の歴史を知る者は、「弱者に優しい政治」を訴える民主党の政治家を信用しない。彼らの主張は、権力を握るための手段(方便)に聞こえる。

「弱者に優しい政治」を訴える政党は、「弱者には弱者のままでいてもらわなければならない。そうしなければ権力基盤を失う」という矛盾を抱える。

オバマ大統領が誕生しても、出身地(シカゴ市サウスサイド)のアフリカ系の暮らしは一向に改善しなかった。

ワシントン下院で激しくトランプを攻撃する民主党の大物政治家イライジャ・カミングスの選挙区はボルチモアであるが、政治腐敗の本丸である。

連邦政府からの補助金は、権力に近い組織が巧妙に吸い上げてきた。貧困であるからこそ補助金が付く。そうした組織が民主党政治家を「育てて」きた。貧困と暴力の継続が権力維持の源泉となった。

2016年大統領選挙の出口調査では、アフリカ系の88%がヒラリーに投票した。2012年の選挙では93%がオバマに投票したから、若干の減少はあったものの民主党への絶大な支持は不動だった。

ボルチモアの例でもわかるように、弱者のための政党が弱者に優しい政治をするとはかぎらない。アフリカ系はこのことにようやく気付き始めた。

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