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米民主党は「弱者のための政党」は本当か

2019年12月31日 公開
2022年03月10日 更新

渡辺惣樹(日米近現代史研究家)

トランプ支持に変わる非白人層

民主党が2020年選挙で勝利するには、90%程度のアフリカ系票が必要である。最近の世論調査では、ばらつきはあるものの18%から34%ものアフリカ系がトランプ支持にシフトした(*1)。

メディアがトランプを人種差別主義者と罵っても、彼の進める政策はアフリカ系に恩恵を生んでいる。保護貿易政策へのシフトと中国への高関税政策で国内景気が活性化し、アフリカ系の失業率は史上最低の5.5%(2019年9月第1週)となった(白人層:3.4%)。

前記のボルチモアの貧困と腐敗に対して「イライジャ・カミングスは責任をもつべきだ」とトランプ大統領は発言した。メディアはそれが人種差別的だと批判した。

しかし、ボルチモアのアフリカ系は、ほんとうの思いを代弁してくれたとしてトランプのコメントを評価する。アフリカ系がアフリカ系政治家を批判することは簡単ではないからである。

2016年のラテン系の投票行動もアフリカ系と似ていた。彼らのわずか28%しかトランプに票を投じなかったが、いまではほぼ半数がトランプ支持となった。

その主な理由は不法移民に対する厳しい対処である。不法移民の就労で、正規移民の賃金は一向に上がらない。「不法移民に優しい」オバマ政権時代には、毎年150万人が不法移民としてやってきた。現在750万人の不法移民が何らかの職に就いている(不法就労)。

これは不法移民の総数のほぼ半数にあたる。ラテン系は、メキシコ国境からの不法移民への厳しい対応が彼らの利益になっていることをわかっている。

 

*1:Don Heacox, Signs of a possible Trump blow out in 2020, the Headlight, August 29, 2019

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