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汚名返上の博打の結末は? ある米民主党議員の失態

2020年01月08日 公開

渡辺惣樹(日米近現代史研究家)

(上院議員の事務所に中国人スパイが入り込んでいた)

民主党の支持基盤の一つに女性層がある。同党は彼女たちに、セクハラ被害を積極的に訴える「ミーツー運動」を勧める。この運動の狙いには頷けなくもないが、性悪な政治目的に利用されやすい。実際、民主党は気に入らない人物の排除に使った。

2018年7月9日、トランプ大統領は最高裁判事にブレット・カヴァノー(連邦控訴審判事)を、アンソニー・ケネディ判事の後任として指名した。この人事は上院の承認が必要である。上院司法委員会がカヴァノー判事のヒアリングを開始したのは、9月4日のことである。

民主党はカヴァノー判事が「大嫌い」であった。判事は中絶について保守的であったから、中絶は女性の権利の一部であるとした1973年の最高裁判断を覆すのではないかとの噂が立てられた。

※本稿は、『アメリカ民主党の崩壊2001-2020』(PHP研究所)より一部抜粋・編集したものです。

 

虚偽だった暴行発言

カヴァノー判事の指名を上院で拒否できれば、女性票獲得に大きな弾みがつくことを民主党はわかっていた。それを狙ったのは、ダイアン・ファインスタイン上院議員だった(民主党、カリフォルニア州)。

彼女は、7月末にクリスティン・フォード(心理学者)なる女性からの告発状を手に入れた。フォードは匿名を条件にしながら、高校時代にカヴァノー判事から性的暴行を受けたと「告白」していた。

9月27日、カヴァノーとフォードは議会証言した。民主党にとって誤算だったのは、判事が高校時代に克明な日記をつけていたことだった。フォードは、事件が起きた日を特定していないので、彼は事件「当日」のアリバイ証明ができない。

それでも、彼は日記の記述を頼りに、フォードが訴えるようなパーティへの出席を否定した。証言の確からしさは明らかだった。

カヴァノーの証言に比して、フォードの証言は酷いものであった。フォードは高校時代のある日のパーティでカヴァノーに暴行を受けたと訴えたが、日を特定できなかった。「1980年代の半ば」「80年代の初め」「80年代初めの高校時代の夏」と証言を変えた。

事件発生の日時だけではなく、誰が彼女をパーティに誘ったか、高校生の彼女はどうやって会場に行ったのか(誰かに車で送ってもらったはず)、事件の起きた家の住所といった重要項目をまったく記憶していなかった。

さらに問題なのは、暴行を受けたとされる家からどうやって自宅に帰ったかである。彼女はワシントン・ポスト紙のインタビューで、会場はあるゴルフ場の近くだったと語っていた。

そうなると、彼女の自邸からおよそ七マイル付近(11キロメートル)で事件が起きたことになる。携帯電話のない時代である。誰かに迎えに来てもらったはずであるが、そのこともまったく記憶していない(※1)。

ワシントン上院は、10月6日、カヴァノー判事の指名を承認した。50対48であったから、民主党議員全員が、実質的にフォード証言を信じたことになる。事件の起きた日付も示さず、証言を裏付ける一人の証人も出てこないフォードの話をそのまま受け入れる民主党に多くの国民が驚いた。

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