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2020年「トランプ大統領の再選確実」を信じてはいけない

2020年01月14日 公開
2020年01月16日 更新

渡瀬裕哉(パシフィック・アライアンス総研所長)

反トランプのネット献金が激増している

トランプ大統領を積極的に支持する層とは、日本のネット右派に似たような傾向があり、声は大きいものの実際の選挙戦を左右する力は決して高くない。したがって、共和党は選挙戦の過程で十分な組織的運動力を行使できるかは疑問である。

一方、民主党はネット献金プラットフォームである「ActBlue」から資金流入が激増しており、それが大統領候補、連邦議会候補、そして州議会候補やグラスルーツにまで浸透しつつある。

したがって、民主党支持者を動員して投票率を向上させるためのリソースが充実している。

また、反トランプという分かりやすい団結のためのメッセージが存在しており、支持者を政治的に動員するための素地も十分に整っている状態だ。

26年ぶりにヴァージニア州で民主党が共和党から州上下両院議会のマジョリティを奪ったことは、両党の組織的運動力が逆転していることを如実に表した出来事であった。

したがって、トランプ大統領に対する賛否で分裂傾向にある共和党に対し、反トランプで団結して資金力も豊富な民主党は有利な環境を構築できていると言えるだろう。

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選挙戦の難易度は格段に上がった >

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