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目的も分からず戦地に赴く兵士…「敵も味方も分からなくなった」現代の戦争

2020年02月19日 公開
2021年04月23日 更新

喬良&王湘穂(訳 Liu Ki)

 

兵士はどこへ向かうか

戦場が根本的に変化する時期は目前に迫っている。われわれの身近に起きていながらも、誰も気づかずにいるインターネット戦争やナノ戦争が現実のものとなる日も、そう遠いことではないだろう。

これは非常に激烈だが、ほとんど流血を伴わない戦争だ。しかしその結果、勝つ側と負ける側が出ることには変わりはない。

多くの場合、このような戦争は伝統的な意義を持つ戦争と並行してくり広げられる。

二つの戦場空間、通常の空間と技術空間が、重なったり交錯したりして、別々に進行し、戦争はマクロの世界からミクロの世界まで、

異なる物理的特性を持つ領域で同時に展開し、最終的には、人類戦争史上未曾有の戦場の奇観を呈するだろう。

これと同時に、軍用技術と民生技術との間、プロの軍人とアマチュア戦士との間に、ますます区別がつかなくなり、戦場の空間と非戦場の空間との重なりがますます増え、両者の境界線もますますぼやけていく。

かつて全く隔離されていた領域は何もかも打ち破られ、いかなる空間も人類によって戦争の意義を付与されてしまう。場所、手段、目標を問わず、攻撃を仕掛ける能力さえあれば、そこは即座に戦場となる。

コンピュータールームや証券取引所にいても、敵国に致命傷を与える戦争を引き起こすことができる。こういう時代になれば、いったいどこに非戦争空間があるというのだろうか。

命令を受け、戦場へ出発する若者が、私はどこの戦場に行くのかと尋ねたとしたら、その答えはこうなるだろう。

「どんなところへも」

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