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山極壽一「一神教の争いには、日本的“間”の文化を活かせ」

2020年03月03日 公開
2020年03月03日 更新

山極壽一(京都大学総長)

死と生の「間」にいる高齢者の役割

山極壽一

――東洋には仏教の「中道」、儒教の「中庸」といった「間」を重んじる思想がありますね。

【山極】日本人は、バランス感覚に優れた自分たちの長所をもう一度見つめ直す必要があります。

そして「間」をつくり出してきた存在こそ、まさしく高齢者なのです。彼らは死と生の「間」にいるからこそ、直線的な生産性から離れて生きることができている。

そうした存在を尊重することが、個人の欲望に邁進する若い世代や中年世代にとって救いになる。

一見わからない、遊びの多い高齢者の役割を社会にきちんと浸透させれば、人びとにゆとりが生まれ、平和と幸福に一歩近づけるのではないでしょうか。

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