Voice » 社会・教育 » 「やってはいけない」と言われてもやり続ける、中国の「お国柄」

「やってはいけない」と言われてもやり続ける、中国の「お国柄」

2020年03月05日 公開
2023年04月17日 更新

高口康太(ジャーナリスト),西谷格(ノンフィクションライター)

あらゆるサービスをデジタルでつなげる

【高口】 一方で、中国は「吹いてる」だけじゃないとも感じます。かつての中国を知っている身からすると、格段に便利になっているのは間違いない。紛れもなく、テクノロジーのおかげです。

【西谷】 行列に並ばなくても商品を受けとれる「無人スタバ」が普及していますし、スーパーの商品がネット経由で自宅に届くサービスも日本より進んでいます。

アリババの「フーマーフレッシュ」ならば、注文から最短30分で生鮮食品が自宅に届きます。

先ほどの「顔認証ゲート」にしても、技術自体は素晴らしいものがある。実用段階でさまざまな障害に直面しますが、しばらく経つと改善されていることが多い。

【高口】 失敗しても諦めない。これが中国人の特長でしょうね。混乱を受け入れつつ、次から次に新しいサービスが生み出されて、次第に淘汰されていく。トライ&エラーの繰り返しで、市場は自ずと活性化されていきます。

【西谷】 レストランにしても、日本だと混雑時に名前を書いて、店の前で長時間待つことがあります。中国はそれすらもデジタル化している。

アプリで事前に申し込み、順番が近づくころに店に向かえばオーケー。これは便利です。

【高口】 百花繚乱のサービスが成り立つのは、キャッシュレスが隅々まで普及しているからにほかなりません。

個人情報の認証も兼ねているシステムなので、財布を持ち歩く必要はなく、あらゆるウェブサービスと決済手段が紐づいています。

日本でも、レストランの予約を受け付けるアプリはあっても、料理の注文から支払い、領収書の送付までを一気通貫するシステムは聞きません。

「Suica」のようなカード決済と違って、中国のキャッシュレスは、あらゆるサービスをデジタルにつなげることで、課題解決につなげていくイメージです。

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