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新型コロナの衝撃、トランプ再選に向けた大きなリスクに

2020年03月27日 公開
2020年03月31日 更新

渡瀬裕哉(パシフィック・アライアンス総研所長)

鍵となる、民主党の正副大統領候補ペア

トランプ大統領にとって再選に向けた最大の幸運は「民主党側に有力な大統領候補者がいない」ことだ。民主党の予備選挙はきわめて混乱しており、多くの候補者が十分なポイントを確保できず、7月の党大会まで大統領候補者の決定がずれ込む公算が高まっている。

民主党予備選挙混乱の主な原因は「中道系候補者の濫立」と「左派系勢力の資金力」にある。中道系候補者は、ジョー・バイデン、ピート・ブティジェッジ、エイミー・クロブチャー、マイケル・ブルームバーグ、トム・ステイヤーなどが濫立し、有力な候補者一名に絞り切ることが難しい。

とくにブルームバーグやステイヤーなどの億万長者は選挙資金が尽きることなく、キャッシュアウトによる予備選挙の途中退場は想定し難いため、非億万長者候補は資金が予備選挙途中で息切れしながら戦いを継続することになる。どの候補者も鎬を削り合うなかで一人だけ大きく突き抜けることは難しいだろう。

一方、左派系のバーニー・サンダースは、潤沢な小口献金に支えられるとともに、全国的な支持組織の堅牢さも相まって、党大会まで首位争いを展開する可能性が高い。

とくにエリザベス・ウォーレンの予備選諸州の結果が振るわず、同氏が今後退場した場合は支持者の半数がサンダースに流れ込むため、他候補者を頭一つ超えるポイントを集めることになるだろう。

従来までは左派系候補者は十分な資金を調達することが難しかったが、現在はAct Blueというネット献金プラットフォーム(左派系小口献金ユーザーご用達のサイト)を通じて巨額のマネーを集めることができるようになった。

2019年にAct Blueを通じて行なわれた小口献金総額は約1000億円相当に及ぶ大ブームとなっている。

トランプ大統領に勝てる候補者を民主党が擁立できるか否かは定かではないが、最終的には党内の一体性を保つ候補者を選ぶことが重要となり、とくに中道派と左派の両方を納得させる正副大統領候補のペアを選ぶことは必須となる。

2016年時も共和党指名候補であったトランプは保守派のペンスを副大統領候補に指名することで、共和党保守派からの支持を得て党内基盤を安定させた。仮に、民主党側が党内融和に向けた妥当な正副大統領候補者ペアを選択した場合、トランプ大統領にとっては大きな脅威となる。

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