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日本を襲う、新型コロナと米「トリプルブルー」政権誕生の脅威

2020年04月01日 公開

渡瀬裕哉(パシフィック・アライアンス総研所長)

日本の防衛にも影響大

トランプ大統領再選・上下両院議会共和党多数となる場合、これは「トリプルレッド(共和党カラーは赤色)」政権と呼ぶことにしよう。この場合はトランプ大統領が2020年の予算教書に示した内容に近いシナリオが展開していくことになる。

逆に民主党による「トリプルブルー」政権が成立した場合は、まったく真逆のシナリオとなることを想定するべきである。

両者の最大の違いは軍事費の取り扱いとなるだろう。トランプ政権は政権発足以来、米軍の再建と称して、軍事費増加に舵を切ってきた。

これはオバマ政権時代に切り詰められて機能不全となっていた米軍の展開能力を回復させることを意図したものだ。

国防総省の要求水準には満たないものの、少なくともトランプ政権は2025年までは継続して予算を伸ばす意向を示している。

トランプ大統領は中国をはじめとした権威主義国に対して、オバマ政権と比べて軍事的に対抗する努力をしている。

そして、具体的に、中東での終わりなき戦争からの撤退を主導し、NATO(北大西洋条約機構)や対中方面への軍事的シフトに向けて動き始めている。

同盟国に応分負担を強烈に求める姿勢は、本気で新たな脅威に対抗しようとする姿勢の裏返しと捉えるべきだ。

一方、トリプルブルー政権は、社会保障費やインフラ投資などの費用が嵩むため、軍事費については再び大幅な削減方向となる可能性が高い。

これは台頭する権威主義国に対して軍事的な対応が十分にできないことを意味する。もちろん、連邦議会には民主党であってもタカ派議員は存在するため、あからさまに米国が逃げ腰になるとは考え難い。

しかし、軍事費を確保できないという背に腹は代えられぬ状況においては、彼らもファイティングポーズをとりながら事実上は後ずさりを繰り返すことしかできないはずだ。

したがって、トリプルブルー政権の場合、トランプ大統領と比べて物腰自体は柔らかいかもしれないが、日本をはじめとした同盟国は米国の庇護を十分に受けられなくなることを覚悟したほうがよい。

日本の防衛に対する米国のコミットメントなどは、米軍の稼働状況や能力状況を見ながら、それが空文化する可能性をつねに疑う必要が生じることになる。

トランプ政権下で冷遇された国務省が復活して美辞麗句を並べるかもしれないが、彼らの軍事的担保がない約束など無意味だ。

さらに、トリプルブルー政権が大増税・規制強化を行なうことは自明であり、米国の景気後退は否めない。

消費増税および中国の新型コロナウイルス問題で経済が後退局面に入りつつある日本にとっては、経済的脅威も同時に襲来することになる。

トランプ政権誕生時に世界経済が崩壊すると騒いだメディアがデタラメだったことはすでに明らかだが、トリプルブルー政権が誕生したならば世界恐慌の引き金を本当に引く可能性がある。

そのため、日本側は減税を軸とした景気対策をいまから準備しておくべきだ。いずれは来る不況がトリプルブルーとともに目の前に差し迫っているという認識が重要である。

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