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新型肺炎、中国依存の韓国や北朝鮮は深刻な状況に

2020年03月26日 公開

高橋洋一(嘉悦大学教授)

高橋洋一

中国を震源地とした新型コロナウイルスによる肺炎(新型肺炎)が世界中を大混乱に陥れている。世界経済へのダメージは避けられず、昨年10月の消費増税の影響で、悪化していた日本経済への影響も大きい。だがそれ以上に、韓国、北朝鮮は厳しい状況に追い込まれている。いったい、何が起きているのか──。

※本稿は『髙橋洋一、安倍政権を叱る!』 (悟空出版)の内容を抜粋・編集したものです。

 

反日姿勢のツケ

新型肺炎による世界経済へのダメージは避けられない。SARSの際、中国経済の落ち込みは短期的で、世界経済への影響は0.1%にとどまった。2003年の名目GDPの中国のシェアは4.3%だったが、2018年には15.7%と、影響力は4倍程度だ。

中国人の世界での往来も、SARSのときとは比べものにならないくらい増えたが、感染拡大に対処するため、中国から入国制限を実施する国は60カ国を超えている。

また、中国はすでに世界の中での重要なサプライチェーンに組み込まれており、サプライチェーンの1つが切れるという問題にもつながる。世界経済は確実に影響を受けるので、その対策も抜かりなく必要だ。

新型肺炎によって韓国経済はかなり苦しい状態に陥っている。文在寅大統領は反日姿勢を強め、中国に片寄せしてしまった。その結果、韓国企業のサプライチェーンは中国依存度が高まった。

中国での新型肺炎は、韓国企業には大きな影響がある。現代など韓国の自動車メーカーへの影響は、日本の自動車メーカーの比ではない。日本の自動車メーカーは、いくつかの流通ルートを持っているが、韓国企業は中国依存度が高い。

日本に泣きついてくるかもしれないが、これまで日本製品の不買運動をしていたわけであるから、状況をよく見て対応したほうがいいと思う。

韓国では、4月に総選挙がある。文政権はそこで審判を受けるが、韓国国民の政権への反応を見極めてから日本は対応すればいい。それまでに何かをする必要はないというのが筆者の考えだ。

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