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橋下徹「交渉とは、相手を言い負かすためのものではない」



2020年04月10日 公開

橋下徹(前大阪市長)

写真:大坊崇

新著『交渉力』(PHP新書)を刊行した橋下徹氏。大阪府知事・市長の経験に基づく彼の交渉術は、交渉下手といわれる日本人の多くが参考になるものだろう。ビジネスの局面や昨今の米・イラン情勢を例示しつつ、「橋下流交渉術」の極意について語る。

本稿は月刊誌『Voice』2020年5月号、橋下徹氏の「政府は結果責任から逃げるな」より一部抜粋・編集したものです。

聞き手:Voice編集部(中西史也)

 

自分の要望を整理することが交渉の鍵

――新著『交渉力』(PHP新書)は、橋下さんがこれまで大阪府知事・市長の首長時代、また弁護士として対立する意見を調整してきた経験に基づき、その極意が書かれています。「日本人は交渉下手」といわれますが、交渉の要諦は何でしょうか。

【橋下】いかに自分の要求を削ぎ落とすか、ですね。交渉というと、相手を言い負かす方法や駆け引きのやり方のように思われがちです。実際、僕も2008年に大阪府知事になるまでは、そう思っていました。

でも、行政組織のトップとしてあらゆる折衝を経験したことで、交渉では相手との関係を整理する前に、まず、自分の要望を整理することが重要だと学びました。

交渉とは互いの要望を実現するために、譲歩し合うプロセスです。協議や話し合いと呼んでもいい。交渉において、自分の思いどおりにいくことはほとんどないものです。

ビジネスパーソンであれば、社内の方針と取引先の要望とが食い違い、その板挟みに悩むことがあるでしょう?

――たとえば編集の仕事であれば、著者が要求するタイトルやデザインと、編集部の要望に齟齬が生じることがありますね。

【橋下】自分の要望を整理し、絞り込むのは大前提ですが、もう一つ役立つ手法が「要素の分解」という考え方です。自分と相手の要望をより細かな要素に分解し、互いに「何を譲れて何は譲れないか」を整理するんです。

政治家時代、選挙ポスターのデザインについて、スタッフ同士の意見がまとまらないことがありました。デザインは好みの問題が大きいので、良し悪しを話し合っていても、なかなか結論が出ない。

そういうときは、背景の色、写真の選定、候補者の視線の向き、文字の大きさ・色など、ポスターに関する要素を分解してみる。その要素ごとに「絶対に譲れないもの」と「譲れるもの」を整理して、優先順位をつける。

スタッフのあいだで意見が「一致するもの」と「一致しないもの」、さらにそのなかで「譲歩によって一致の余地があるもの」と「どうしても一致が難しいもの」でマトリックスをつくり、一致点を探ります。

すると、互いの譲れる、譲れないのポイントが浮き彫りになり、合意の可能性が見えてくるんです。

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