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橋下徹「政治家は“気配”で判断すべきときがある」

2020年04月12日 公開
2023年07月12日 更新

橋下徹(元大阪府知事/弁護士)

日本全体の経済的影響を考えるべき

――大規模イベントの自粛も、一斉休校と同様に、爆発的な感染増加を緩める「ピークカット」の意味があるわけですね。

【橋下】そうです。ピークカットのためには人の活動を抑制する必要がありますが、日本全体の経済的影響も考えなければなりません。

そこで経済的影響の少ない生徒、学生の活動を抑制する。その趣旨からさらに実行すべきなのが、大規模イベントの自粛です。イベント関係者にとっては大損ですが、日本全体の視点で考えれば、企業活動を全面的に止めるよりもまだ影響が少なくてすみます。

「相変わらず企業活動は行なっているし、満員電車を放置しているなら感染は止められず、イベントを自粛したり一斉休校したりしても意味がないではないか」という意見もあります。

しかし、企業活動を全面的に止めたり、公共交通機関を止めたりするのは経済的損失が大きすぎます。ゆえに、経済的損失が比較的少ないイベント自粛や一斉休校を選んだにすぎません。

公共交通機関を止めることはできないので、イベントや学校における人の活動を抑制する選択をしただけです。政治家は、イベントや学校に携わる人たちの利害得失だけではなく、日本全体でのバランスを俯瞰して、どこを残してどこに我慢を求めるかの判断をしなければなりません。

まさに自分の要望に優先順位を付ける交渉ノウハウと同じなのです。

この点、なぜいまイベントの自粛・休校をする必要があり、それはいつまでなのかに関して、政府が説明している姿を見ていると、国としての国民に対する「要望の整理」がきちんと行なわれておらず、国民に政府の意図がきちんと伝わっていないと感じます。

政府は国民との交渉をうまく運べていなかった、とも言えるでしょう。

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