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新型コロナ禍が加速させる国家間対立



2020年04月13日 公開

細谷雄一(慶應義塾大学法学部教授)

写真:吉田和本

グローバル化が急速に進展しているが、新型コロナウイルスによって世界は新たなステージに進んだ。

慶應義塾大学法学部教授の細谷雄一氏は、ポピュリズムや排外主義に新型コロナウイルスが結合することによって国際関係が変わりつつある、と述べる。先行きが見えない状況の中、世界はどう変化していくのか。

本稿は月刊誌『Voice』2020年5月号、細谷雄一氏の「政治経済の『免疫力』を備えよ」より一部抜粋・編集したものです。

 

岐路に立つグローバル化の進展

新型コロナウイルスの急速な感染拡大を受けて、2月25日にフランスのブリュノ・ル・メール経済・財務担当相は、「新型コロナウイルスの流行は、グローバル化の流れを変える出来事だ」と述べた。

ル・メール氏以外にも、同様の問題意識から現在グローバル化の進展が岐路に立っていると論じる者が少なくない。

感染症の流行が、国際関係の新しい局面を生み出しているのだろうか。冷戦が終結するころに、多くの論者がグローバル化の進展を確信していた。

たとえばよく知られているように、政治学者のフランシス・フクヤマは「歴史の終わり?」と題する論文において、自由民主主義のイデオロギーが最終的な勝利を収めたことで、それが世界中に広がっていくと予測した。

また、アメリカの『ニューヨーク・タイムズ』紙コラムニストのトーマス・フリードマンは『フラット化する世界』と題する著書のなかで、21世紀の世界ではグローバル化がよりいっそう加速して広がっていくと論じた。

おそらく、グローバル化が止まることはないであろうし、自由民主主義のイデオロギーが消失することもないであろう。

しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大により、新しい国家間関係のパターンが見られるようになったのも事実であろう。

最近、『新しい地政学』(東洋経済新報社)という共著を、北岡伸一JICA(国際協力機構)理事長とともに編者となって刊行した。

そこでは、グローバル化の進展が、地政学が復権する動きと結び付いていることに着目し、国際政治の新しい局面が生じつつあることを論じた。

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