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第六代統合幕僚長・山崎幸二「隊員がいるから日本の平和を守れる」

2020年06月17日 公開
2022年07月08日 更新

山崎幸二(第六代統合幕僚長)

危険を顧みず責務を完遂する覚悟

山崎幸二(第六代統合幕僚長)(写真提供:防衛省)

――『シン・ゴジラ』(2016年、総監督・脚本:庵野秀明)や『Fukushima 50(フクシマフィフティ)』(2020年、監督:若松節朗)といった話題を呼んだ映画で自衛隊の活躍が描写されるなど、その活動と成果が国民に浸透してきているように思います。

(山崎)私も両作品とも拝見しました。任務を遂行する自衛隊の部隊・隊員の行動が緻密に描かれており、感嘆しました。自衛隊を取り上げる映画が少ないなか、その奮闘ぶりを描写する作品が公開されて注目を集めたのは嬉しい限りです。

『シン・ゴジラ』で描かれる自衛隊の運用は、リアリティに富むものでした。突如出現した巨大不明生物に立ち向かうスクリーン上の自衛隊に対して、思わず「頑張れ!」とエールを送ったことを覚えています。

福島第一原子力発電所の事故に伴う未曾有の事態を描写した『Fukushima 50』では、現場で奮闘し続けた方々の姿に圧倒されたことが強く印象に残っています。

とくに退避要請を受けた自衛官が「われわれの仕事は国を守ることですから」と言葉を発し、所員とともに現場に残る姿には目頭が熱くなりました。

現場で強い使命感をもって行動する隊員がいるからこそ、わが国の平和と安全を守ることができる――。統合幕僚長という立場として、両作品を観てあらためて痛感した次第です。

――いま難局に直面するうえで、山崎統幕長がつねに胸に抱いている「原点」は何でしょうか。

(山崎)「服務の宣誓」です。自衛官としての心構えや身につけるべき資質が書かれている宣誓書であり、私の精神的支柱といっても過言ではない。

本宣誓は自衛官全員が任官時に行なうものですが、私が今回の水際対策の派遣現場に視察と激励で訪れた際、隊員たちが「危険を顧みず責務の完遂」に務めている様子を見て、その姿こそが自衛隊の任務遂行の原動力だと心強く感じました。

「服務の宣誓」に立ち返れば、自衛官としての使命感や、国民の負託に応える覚悟が湧いてくる。

経験を積めば積むほどその言葉の重みが増し、身の引き締まる思いです。私はこれからも自衛官の道を歩むにあたり、絶えず「服務の宣誓」を大切にしていきます。

――われわれ国民が日常を過ごすことができているのは、自衛隊員や医療従事者など、陰で奮闘する方々のおかげであることを忘れてはならないでしょう。

(山崎)自衛隊はわが国を防衛する実力集団であり、つねに国民と共に存在し、かつ信頼される組織である必要があります。そのためには、わが国の平和と独立、領土・領海・領空及び国民の安心と安全を守る使命を果たし続けなければならない。

隊員は国内外において、高い志と使命感をもって黙々と任務を遂行しています。いついかなる事態が発生しても、陸上・海上・航空自衛隊の力を結集し、国民の負託に応えるため、自衛隊の使命を果たしていきたいと思います。

【服務の宣誓】
私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、強い責任感をもつて専心職務の遂行に当たり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います。

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