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新型コロナの経済損失は「半年で57兆円」…第二波を防ぐ“唯一の手段”

2020年07月03日 公開

小黒一正(法政大学経済学部教授)

 

徹底した初動が「出口戦略」の決め手

フランスのフィリップ首相は5月11日以降、ロックダウンの制限緩和を行ない、1週間に70万件の検査をめざすと表明している。

イギリスの感染症学者チームは1日1000万件、ロックフェラー財団は3000万件/週の検査を提言する動きがあり、アメリカ経済学会で重鎮のニューヨーク大学ポール・ローマー教授も1日2000万件の検査を提言(予算は約10兆円)。すでにアメリカでは5月中に検査を200万件/週に拡大する目標を掲げている。

わが国でも、地域や職種を選別しながら、試行的な実験(例:都内のパイロット・テスト)を含め、まずは1日5万件からでも検査を行ない、検査件数や検査体制を抜本的かつ段階的に拡充し、徐々にでも自由に経済活動ができる人びとを増やしていくことが重要である。

また、免疫の有効性や期間に関する論争もあるが、その論争に決着がつき、免疫の期間が長い場合、新型コロナウイルスに一度感染して回復した者(一定期間経過後)や抗体検査で一度陽性であれば、PCR等検査陰性証明書などの更新頻度を下げることができるはずだ。しかも、途中でワクチン開発に成功すれば、それも利用できよう。

同時に、新たなワクチン開発のみでなく、「治療法」の開発も重要である。

すなわち、新型コロナウイルスに感染後、症状の発展段階において、既存の医薬品のうち効果的なもの、その組み合せや処方の量・頻度などで適切な治療法を開発し、致死率を通常のインフルエンザの水準以下にまで引き下げることができれば、命と経済のトレードオフは解消でき、通常の経済活動を取り戻せるという視点である。

しかしながら、中途半端な戦略で、ウイルスを適切に封じ込めることができず、外出制限や社会的距離(ソーシャル・ディスタンス)などの対策を緩めた場合、(夏ごろに感染が一時的に収束に向かっても再び秋・冬以降に)第二波や第三波の感染拡大が発生し、その対策が1年半以上も継続する可能性がある。

その可能性があるならば、FRBエコノミストのコレイア氏らの研究も参考に、初期段階から徹底した「検査」と「隔離」を行ない、できる限り早く経済を正常化する戦略を採用するほうが、時間軸での経済的ダメージの合計は小さくなる可能性があるはずだ。 

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