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世界が不思議がる「日本モデルの成功」その謎を解く3つの鍵



2020年07月13日 公開

國井修(グローバルファンド〈世界エイズ・結核・マラリア対策基金〉戦略・投資・効果局長)

國井修(医学博士)

三大感染症といわれるエイズ、結核、マラリアと常に闘い続けるグローバルファンド。世界各国の政府、製薬会社からマイクロソフト社の創業者ビル・ゲイツ氏、ロックバンドU2のボノ氏といった著名人の支援を背景に、低・中所得国が自ら行う三疾病の予防、治療、感染者支援、保健システム強化を支援している。

この基金において戦略・投資・効果局長を務める國井修氏が月刊誌『Voice』2020年8月号において、感染症対策の専門家として日本の感染状況を分析し、これからの日本の取るべき方策を提示している。ここではその一部を紹介する。

※本稿は月刊誌『Voice』2020年8月号、國井修氏の「日本型『ハンマーとダンス』の構築を」より一部抜粋・編集したものです。

 

なぜ日本は感染を抑え込めたのか

私は欧州に住んでいるが、海外から見て日本の新型コロナ対策を「成功」と評価しながらも、「パラドックス」「ミラクル」と不思議がる人も多い。

欧米で感染流行が拡大する前、日本はクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」への対処で「失敗した」と見なされ、「感染要注意国」のレッテルを貼られた。

PCR検査の少なさは「東京五輪開催へのこだわりから感染者を出したくないのだろう」と疑われ、果ては「感染者数を過小に報告している」とも言われた。当時の日本への評価に触れ、私も決していい思いはしなかった。

欧米で感染爆発が始まり、外出禁止や都市封鎖(ロックダウン)を行なう国が続出してからも、日本では満員電車で通勤し、花見に集まる人びとの姿が映し出され、イタリアやアメリカに続いていつ感染爆発を起こすのか、と注視していたメディアもあった。

それが蓋を開けてみれば、4月中旬に1日当たりに発表される感染者数が700人を超えたものの、それをピークに減少に転じ、原稿執筆時点(6月22日)では1日100人未満、死者は一桁に収まっている。累計感染者数は2万人にも満たず、イギリスを含め20万人を超える国が多いなか、また200万人を超えるアメリカと比べてもはるかに少ない。

2月に日本で感染が流行していたとき、ロンドン市長選挙の候補2人は、東京五輪が日本で開催できない場合は代わりにロンドンで開催してもよい旨の余裕の発言をしていた。ところがイギリスの累計死者数はついに4万人を超え、日本の40倍以上に達する。

なぜ日本は感染を抑え込めたのだろうか。多くの人がいま、その理由を探している。

これに対して、BCG接種、ウイルス変異株の違い、医療レベルの高さ、遺伝子の相違、肥満率の低さ、さらには「民度の高さ」、神風などさまざまな仮説や自説が飛び交っている。

これまでのところ、日本を成功に導いた「ファクターX」を十分に証明するデータは私の知る範囲ではない。が、もし証明されたとしても、1つのファクターですべてを説明することは難しいだろう。

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