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感染症対策の第一人者が提言「第二波には“ハンマーとダンス”で立ち向かえ」

2020年07月16日 公開
2022年02月22日 更新

國井修(グローバルファンド〈世界エイズ・結核・マラリア対策基金〉戦略・投資・効果局長)

「ハンマーとダンス」戦略とは何か

これらを基に、公衆衛生対策と社会経済の復興を結び付けた「新しい生活様式」と「新しい社会生活の楽しみ方」を模索していく必要があるだろう。

新型コロナ流行を各国で収束させるには長期戦が想定されるため、「ハンマーとダンス」で闘っていこうとの提言もある。

これは急激な感染増加が発生した場合、ハンマーで叩くような強行措置を行ない、感染者が減ってきたらウイルスとダンスを踊るようにうまく付き合いながら社会経済活動を再開していこうという戦略である。

対策を緩めすぎたり、人びとが油断しすぎたりして再流行が始まった場合には、またハンマーで叩き、収まったら再びダンスを始めるというように、「ハンマーとダンス」を繰り返す必要がある。

とはいえ、当然、国によって状況は異なるので、ハンマーやダンスの内容・程度・期間はその国に合わせて独自に用意すべきである。

とくに厳格なロックダウンは、アフリカや南アジアでその日暮らしの生活を送る貧しい人びとに甚大な影響を与え、ウイルス感染以上の被害をもたらしてしまった。欧米でも、これまでと同じ程度のロックダウンをする経済的体力、精神的余裕は残されていないだろう。

今後はすべて禁止ではなく、リスクの大きさを考えながら、地域別、活動別、フェーズ別の具体的な戦略と対策を練っていく必要がある。リスクゼロ、感染者ゼロをめざすのではなく、ある程度の許容範囲をもち、そのなかで社会・経済活動を活性化していくことが必要だ。

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