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若手男性官僚の7人に1人が「数年以内に辞職したい」のはなぜか



2020年09月11日 公開

松井孝治(慶應義塾大学総合政策学部教授)

政局は「ポスト安倍」に関心が向けられるなか、コロナ対応に当たる霞が関の働き方改革も急務である。内閣人事局の調査によると、非管理職・30歳未満の男性職員のうち7人に1人が「数年以内に辞職したい」と答えたというのだ。官僚と政治家の双方を経験し、現在は慶應義塾大学総合政策学部で教鞭を執る松井孝治氏が、官僚の働き方改革と国会改革を提起する。

※本稿は『Voice』2020年9月号より、一部を抜粋編集したものです。

 

首長の活躍から芽吹く、政局のうねり

コロナ禍で中央政府の執行力の綻びが明らかになった一方で、東京都の小池百合子知事や大阪府の吉村洋文知事といった地方自治体の首長の動きに衆目が集まった。

とりわけ吉村知事の存在は国民全体から注目を集め、維新の会に対する支持も上昇し、世論調査では立憲民主党の支持率を上回る結果も出ている。

私は昨夏に本誌に寄せた拙稿「真の野党再生論」(『Voice』2019年7月号)で、維新の会がもつポテンシャルについて触れたが、奇しくもコロナ危機で潜在力を発揮したかたちだ。

地方政治家の躍進は、これまでも何度かみられた現象である。1990年代には、「改革派知事」が台頭し、地方分権の旗手としての役割を演じたし、2000年代の大阪府・橋下徹知事の地方行政改革は記憶に新しい。

今回の吉村、小池両知事の存在感の高まりは、コロナ禍という国民関心事に、両者とも連日会見を開いて、住民目線で、自らの言葉で国民に語り掛けたことが大きい。

対して安倍晋三首相の発言はやや精彩を欠き、西村康稔担当大臣への一元化によりある程度収束するものの、各省庁は縦割りの対応に混乱も見られたのは残念だった。

感染症対策という地域によって深刻度の異なる問題を中央で一律に行なうことの難しさや、地方限定とはいえ大統領型で最高責任者としていわばフリーハンドで発言を行なえる首長の指導性も印象付けられた。

やや横道にそれるが、維新の会において、体育会系で「イテマエ」な印象の濃い維新第一世代よりも、若くてスマートな印象を与える吉村知事が活躍したことは、地方からのニュースターの誕生を予感させる。与野党が膠着した政治を刺激する萌芽が生まれているのかもしれない。

本題に戻ると、地方自治体を含む統治構造の見直しが今一度争点に浮上する可能性がある。たとえばコロナ対策でいえば、「Go Toトラベルキャンペーン」では全国的な観光振興と経済の復興を重視した政府の戦略を、東京と大阪の知事の住民意識に根差した慎重論がブレーキをかける形になった。

政権幹部や県知事の「東京問題」「東京が諸悪の根源」という発言が物議を醸したが、どこまで全国一律の対策を中央で行ない、どこからを地方で行なうのか、また、地方といっても、人の移動や産業構造面では東京、神奈川、千葉、埼玉の四都県や京阪神などは一体化していて、感染症対策を都道府県ごとに行なうべきなのか、より大きなブロック単位で行なうべきかは重要な論点だ。

今年11月に大阪都構想の住民投票も予定されているが、抽象的な統治機構論よりも国民生活の安心や安全を国と地方がどのような役割分担で担うべきかという視点で、道州制を含めた国と地方の統治機構を再考してみるべき時かもしれない。

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