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実は「他人の子と知らずに育てている父親」が多い? 語られない男女間の“不都合な真実”

2020年09月17日 公開

橘玲(たちばなあきら:作家)

 

他人の子供とは知らずに...

――女性としては、どうしてもアルファの男に魅力を感じてしまうのはやむを得ないとして、本書で紹介されているヒトの生殖戦略のなかで、とりわけ女性の「托卵戦略(自分の産んだ子を他人に育てさせること)」は衝撃的です。男女の性愛に対する「常識」を根底から覆すようなインパクトがあります。

【橘】欧米の研究ですが、血のつながらない他人の男性の子供を育てている割合は、父子関係に疑いをもっていない場合で平均2%、妻の不貞を疑っている場合には平均3割もあるという。

私も「いくらなんでもそんなことはないだろう」と思いましたが、世界各国のDNA検査の結果を総覧するとたしかにそうなっている。日本の研究はありませんが、同じようなものでしょう。あくまで推計とはいえ、父親が血のつながらない子供を「誤って」育てているケースを研究者は10%前後と見積もっています。

――つまり、10人の父親のうち1人は他人の子供と知らずに育てているわけで、かなり高い確率といえるのではないでしょうか。

【橘】だからこそ、(ほぼ)すべての社会でこの事実が隠蔽されてきたのでしょう。ちなみに、いまでは簡易版のDNA親子鑑定キットが1万5000円ほどでネットで買えます。専門機関での親子鑑定ですら、3万円程度です。

――鑑定してみたい衝動に駆られる父親はいるかもしれません。

【橘】従来の進化心理学では、男の乱交戦略に対して、女は純愛戦略で一人の男と長く付き合おうとするとされてきました。ある意味男に都合のいい話だったわけですが、それが根底から覆されつつある。

以前から一部の進化心理学者は「女の最適戦略はアルファの男とのあいだにできた子供をベータの男に育てさせることだ」といっていたのですが、ものすごく評判が悪かった。この説が正しいことが、徐々に明らかになってくるのではないでしょうか。

 

「同類婚」が顕著になる理由

――幸せな結婚を夢見る一方で、専業主婦ではなく、自由と自己実現をめざして仕事もがんばりたいという女性は多いでしょう。しかし、本書にもあるように、男性が結局若い女性を好むのだとすれば、どうしても自分の「期限」を考えなくてはいけない。彼女たちが幸福になるための戦略についてはどのように考えていますか。

【橘】最近、「私はどうすればいいんですか」という質問を30歳前後の女性編集者やライターからよく受けます(笑)。自分の人生なのだから自分で決めてもらうしかないのですが、そもそもなぜ女が婚活にこんなに必死になるかというと、社会の富を男が独占してきたからです。

女は結婚によって、その「分け前」にあずかるしかなかった。今後、女性の社会進出がさらに進み、経済的に自立するようになれば、男女の性愛の形は大きく変わっていくでしょう。

これは日本も同じだと思いますが、欧米では学歴や収入の高いハイスペックな男女がカップルになる「同類婚」が顕著になっています。

アメリカの白人エリート男性は、「バカでかわいいブロンド娘」ではなく、人種にかかわらず自分と同レベルの大学出身の女性と結婚します。一夜の逢瀬ならともかく、長く暮らすには趣味や価値観が合わないとやっていけないからでしょう。

同類婚は経済的にも合理的です。仮に年収が800万円あったとしても(そんな男はそれこそ希少ですが)、子供が2人いたら、いまの東京で暮らしていくのは大変です。

しかしハイスペックな妻が同じくらい稼いでくれるなら、都心の瀟洒なマンションに住み、子供を私立に通わせ、家族で毎年海外旅行に行くというリッチな生活が実現できます。賢い男女がどちらを選ぶかは考えるまでもないでしょう。

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