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「政府の方針を受け入れるだけではいけない」 熊谷俊人千葉市長が語る、首長の役目

2020年10月07日 公開
2020年10月12日 更新

熊谷俊人(千葉市長)

正確な情報発信と記録としてのSNS

――千葉市の公式ホームページのみならず、市長自らがツイッターやフェイスブックでコロナ対策の方針や感染状況、現状に対する考えを詳細に公開している点が印象的です。SNSの活用にはどんな狙いがありますか。

【熊谷】誤った情報がSNSにより瞬時に拡散されてしまう時代ですから、市長自らが正確な情報を市民に直接届けることには意味があります。

2011年、東日本大震災の福島第一原子力発電所事故当時、放射能を巡る東北の風評被害や科学的根拠に基づかないデマが出回りました。

震災後、千葉市は被災地に職員を長期派遣しており、私自身、偽情報が流布することによる住民や行政の苦労をこの耳で聞いてきました。コロナ禍では、3.11のときのような過ちを繰り返してはいけない。そうした危機感が、私が情報発信に努める根底にあります。

また今回のパンデミックは、人類が「歴史」としてしっかりと記録していくべきです。多くの人びとの日常が激変し、ウイルスに翻弄されているなかで、われわれは何を考えて、どう行動したのか。そうした人類の足跡は、詳細に残されるでしょう。

――われわれが「次なる感染症」に備えるための教訓にもなりますね。

【熊谷】私は政治・行政の意思決定者として、検証可能な記録を後世に残す責務を痛感しています。歴史に対する重い責任を背負っているともいえる。人間とは悲しい生き物で、これだけの事態であっても喉元を過ぎれば痛みを次第に忘れてしまう。

ならば少なくとも先の大戦や東日本大震災のように、コロナ禍に関しても私たちが経験したすべてを記録として残して、後世の検証・総括の材料にするべきです。

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