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「反権力がジャーナリズムなのか」テレ朝屈指の“忖度しない”アナウンサーが切り込む



2020年11月12日 公開

小松靖(テレビ朝日アナウンサー)

小松靖

SNSの台頭や新型コロナ禍により、マスメディアの役割が問われている。テレビ朝日アナウンサーの小松靖さんは、“忖度”することなく出演者のコメントにツッコミを入れる姿が印象的だ。ネットで話題となった某ジャーナリストとのやり取りの真意とともに、アナウンサーとしての原点を聞いた。

※本稿は『Voice』2020年12月号より一部抜粋・編集したものです。

聞き手:Voice編集部(中西史也)
写真:吉田和本

 

置き去りにされている視点をすくう

――小松さんはキャスターとして番組の進行のみならず、出演者の発言に違和感があればすかさず、補足や「ツッコミ」を入れるスタイルが印象的です。今年10月2日まで司会を務めた「大下容子ワイド!スクランブル(平日10時25分~13時、テレビ朝日系)」でも、その"忖度しない"姿勢を貫かれていました。番組で普段から意識していることは何でしょう。

【小松】できるだけ多くの視点を視聴者に提供したいと思っています。マスメディアの情報番組は幅広いテーマを取り上げるため、すべての論点を扱うことはできません。

番組がカバーしきれない部分について、「もっとこのニュースを取り上げてくれればいいのに」「このコメンテーターの意見は間違っている」と不満をもつ方もいるでしょう。

だからこそ私は、視聴者が抱くであろう疑問にはなるべく応えていきたい。番組を観ている人に突っ込まれないように、先回りしてフォローするようにしています。この姿勢は私特有のものではありません。

放送法第4条4項には「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」と明記されています。放送する権利を借りているテレビ局に勤めている以上、法律を遵守するのは当然でしょう。

――小松さん自身はもともと、番組の報道に対して細部が気になる性格だったのですか。

【小松】アナウンサーになる前までは正直、そこまでの高い意識はありませんでした。入社してからも、与えられた情報を視聴者に伝える「伝言役」を全うすることに精一杯だったと思います。

――アナウンサーとしての姿勢が変わったきっかけは何だったのでしょう。

【小松】2016年4月から18年9月までキャスターを担当した「ABEMA Prime」(平日21時~23時、ABEMA)ですね。インターネットテレビ局で2時間にわたって生配信されるこの番組は、地上波では包括しきれないテーマを自由闊達に対話できる環境が整っています。

憲法改正や安全保障、沖縄の基地問題といったセンシティブな問題も、意見が異なる識者をゲストとして呼んで思い切り議論する。私はそれまで報道畑を歩んできましたから、地上波のニュースやコメンテーターによる幅広い情報に触れているつもりでした。

ところが、個性の強い「ABEMA Prime」の出演者や、番組の進行と並行して流れるSNSの意見を見聞きしているうちに、自分がこれまで接してきた情報はほんの一部にすぎなかったことに気づき始めたのです。

とりわけ配信中にSNSの反応をチェックできるのは画期的でした。番組の内容に対して、視聴者からリアルタイムであらゆるツッコミが飛んでくるのです。番組を進行していくなかで、「いまの議論はこの視点が置き去りにされていないか」と察知できるようになりました。

自分から出演者にツッコミを入れていくことでトークが盛り上がるし、問題の本質に近づいている一体感も味わうことができた。「『ABEMA Prime』なくして、いまの小松靖はなし」と言っても過言ではないほど、この番組が私にとって転機になりました。

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パックン氏、青木理氏とのやり取りの真意 >



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